産地と種類
歴史のある産地ザバルガッドでの産出は現在ほとんどなく、アメリカのアリゾナ、ミャンマー、ノルウェーのほか、ブラジル、中国、ケニヤで産出されています。写真に見られるようにそれぞれ独特の色みをしており、ペリドットもエメラルドと同じように産地ごとにクオリティスケールが必要なのかもしれません。しかし稀少性がそれほど高くないため、本書では一つのスケールの中にまとめることにしました。
ミャンマー(ビルマ)産
ミャンマー産ペリドットは、ルビーの産地で有名なモゴックの近くで産出します。10カラット以上の大粒のものも産出します。ミャンマー産は写真のように、ブラウンみが少なく、オリーブがかった美しいグリーンをしています。これはリカットによりプロポーションと仕上げを整えた、色の濃淡の織りなすモザイク模様が美しいものです。
アリゾナ産
アリゾナ産は産出が豊富ですが、ブラウンみや黒みの強いものが多く、またほとんどが5カラット以下の小粒のもので、手軽なアクセサリーとして使われています。しかし中には美しいグリーンのものも見られ、一律に低品質とはいえません。アリゾナ産、ミャンマー産、ノルウェー産の色みの差に注目してみましょう。特に、ジェムクオリティでの産地による稀少性の差は大きく、価値と価格に影響します。
ノルウェー産
ノルウェーのサンモーア産の淡めだが純粋なグリーンのペリドットを見ると、ミャンマー産のものが見劣りしてしまいます。宝石は、色の濃淡よりも色の純粋さや鮮やかさ(彩度)が、さらにそれ以上に透明度の高さが美しさに大きく影響しているのがわかります。そのうえ色が1カ所に片寄らず石全体に豊富に見られ、形(なり)が良いことも重要です。
品質の見分け方
各産地のペリドットをクオリティスケールにあてはめていくと、ここではミャンマー産はS、A、アリゾナ産はCになります。またアリゾナ産には5カラット以上のものの産出は少なく、一方ミャンマー産には大粒のものがあります。大粒のミャンマー産はカットが悪く、キズのある品質のものが多いのですが、リカットして美しいSに仕上げられるものも多く見られます。
またペリドットの品質の見分け方のポイントは、ブラウンみの有無とキズの有無で、それがビューティグレードの決め手となります。
選び方
ペリドットは比較的安値なので、10~20カラットの大粒のジュエリークオリティのものを選ぶとよいでしょう。リングでもペンダントでも見栄えがよく、美しいモザイク模様が楽しめます。
ジュエリークオリティではブラウンみのものを避けることが大切です。ペリドットと名づけられていてもブラウンみの強いものは美しさに欠け、その価値はごく低いのです。名前や価格だけ見て宝石を判断するのではなく、美しさ第一で選ぶことが大切です。
3カラットサイズのジュエリークオリティの価値は、石のみで、1個当たり250USドルが目安です。(2004年現在)