ルビーの語源は、ラテン語で赤を意味するルベウスです。1800年以前はレッドスピネルも赤系統のガーネットも含めて、赤い宝石はルビーと呼ばれていました。
ルビーは、サファイヤと同じコランダムという鉱物で、主成分はアルミニウムと酸素です。純粋なコランダムは無色で、クロムという物質の混入で赤くなったものがルビーです。クロム1%程度がルビーとしては最適で、さらにクロムの量が増えすぎるとグレーになってしまい、ルビーと呼べない、美しさのないただの鉱物になってしまいます。
モース硬度はダイヤモンドの10に次いで硬い9で、日本名は鋼玉です。コランダムの中で赤系統のものをルビーと呼び、それ以外のものはすべてサファイヤと呼びます。
ミャンマー(ビルマ)のモゴック地方の鉱山は、15世紀から採掘が始まり、それ以来主要な産地となってきました。モゴック産ルビーの特徴は、次ページの写真に見られるような"柔らかい色"です。これはカシミール産サファイヤやコロンビア(ムゾー鉱山)産エメラルドと同じ質の柔らかさです。ルビーではタイ産よりモゴック産が、サファイヤではモゴック産よりカシミール産が、エメラルドではザンビア産よりコロンビアのムゾー産が、それぞれ比較すると何ともいえない柔らかな色をしているのがわかります。
モゴック産ルビーの6Sは濃いめの赤で最高の色とされているピジョンブラッド(鳩の血の色)で、透明度も高いものを指し、同じようなものがタイ産にも存在します。しかし淡めの色になると、モゴック産はパープルを帯びて明るい色になります。これはモゴック産ルビーが紫外線に対して発光する特性(蛍光性)が強いこと、黒みを増す鉄の不純物が少ないこと、そしてブルーみを増やすチタンが存在するためです。