産地の特色と種類
ブラジルのミナス・ジェライス州が世界最大のトパーズの産地です。無色、淡いブルー、黄色、シェリー(オレンジみの黄色)を産出し、時には200kgを超える大きな結晶も産出されます。トパーズはブラジルのほかにも、ロシアのウラル地方、パキスタンなどでも産出されています。似たような色でもアクアマリンは宝石ですが、ブルー・トパーズの場合、現在市場に出ている大部分のものは天然ではなく、人工の放射線処理ブルー・トパーズで、宝石としての価値はほとんどありません。
イエロー・トパーズ
シェリーカラーに対して、レモンカラーのものをイエロー・トパーズと呼びます。トパーズの場合、レモンカラーはシェリーカラーに比べてあまり好まれないようです。イエロー・サファイヤの場合に、レモンイエローがオレンジイエローより人気が高いのと対照的だといえます。レモンカラーにも濃淡があり、特に淡いめのものは希少性が低く、価値が低いものです。黄水晶をシトリン・トパーズということがありますが、シトリンはクオーツ(水晶)であり、トパーズではありません。
インペリアル・トパーズ
シェリーカラーのトパーズはインペリアル・トパーズと呼ばれ、ブラジルのミナス・ジェライス州が主な産地です。本書では取り上げませんでしたが、イエロー系トパーズのクオリティスケールでは、このインペリアル・トパーズがビューティグレードのSになります。シェリーカラーにも濃淡があり、ブラウンみがかからない濃いめのものが最高とされます。
ピンク・トパーズ
ピンク・トパーズはパキスタン産の天然の色のものと、ブラジル産のオレンジカラーを加熱したものがあります。パキスタン産のものは多少バイオレットがかかっているのが特徴で、ブラジル産のオレンジカラーは濃ければ濃いほど加熱に大きく反応し、美しいピンクになります。この場合の加熱は、自然がやり残したことを人間が補足しているという考え方から認められています。なぜなら宝石に内在する素質の有無が結果を決めるからです。写真のピンク・トパーズはブラジル産で、加熱処理が施されています。
品質の見分け方
ピンク・トパーズは赤というより赤紫の淡いもので、ピンク・ダイヤモンドに似ています。ジェムクオリティのピンク・トパーズがもしもピンク・ダイヤモンドだったとしたら、このような美しいダイヤモンドは類いまれなものであり、1カラットで1000万円を軽く超える稀少なものとなるでしょう。スリランカ産の淡い色のルビーもピンク・トパーズに似ています。ピンク・トパーズは、褐色みのない濃いめのものがジェムクオリティとされます。
トパーズは硬度が高く、その輝きは強く、小粒のものでもかなり美しく輝きます。また赤に近いピンクの本当に美しい数カラットの品質もまれに存在します。それらはジェムクオリティのピンク・ダイヤモンドよりはるかに美しく、特別の美術品のように個別に価格がつけられます。
選び方
本書の24の宝石の中で、ピンク・トパーズは一番知られていない宝石かもしれません。イエロー系の宝石の人気は一般的には今ひとつなのに比べて、宝石名はどうであれ、ピンクという色に対する人々の潜在需要は多いと思われます。3カラットのジェムクオリティのピンク・トパーズのまわりにダイヤモンドを十分にあしらったリングは、気品のある美しいものです。1カラットのジュエリークオリティのものも、数少ないピンクの宝石として楽しむことができます。
1カラットサイズのジュエリークオリティの価値は、石のみで、1個当たり300USドルが目安です。 (2004年現在)