ゾイサイトの種類
現在では東アフリカがタンザナイトの産地です。ほとんどのタンザナイトの原石は加熱され、黄色みや褐色みを抜き、ブルーを引き出しています。しかしすべて一律な色になるのではなく、原石の素質によって一つひとつ別の色合いになるのは、サファイヤやアクアマリンのケースと同様です。ここでは加熱していないブルーのものとグリーンのもの、加熱したブルーのものを紹介します。
タンザナイト(加熱)
このタンザナイトは加熱された場合の一般的なものですが、チェスのボードのような珍しいカット(市松模様)がされているもので、この種のカットをチェッカーボードカットといいます。カットという言葉は型、輪郭、プロポーション、仕上げ、そしてチェッカーボードのような面の取り方などいろいろな意味を表します。このタンザナイトは、正確にはオーバル型チェッカーボードカット・タンザナイトといいます。
グリーン・ゾイサイト(無処理)
グリーン・タンザナイトという名称はありません。なぜならタンザナイトは、ゾイサイトという宝石の中でブルーのもののみに与えられた商業名だからです。名称は商品の魅力を左右する大切な要素で、ゾイサイトというとなにか堅苦しい感じがしますが、タンザナイトという言葉の響きが与える神秘的な感じは商業名として大成功といえるでしょう。しかしグリーンのゾイサイトは非常に少なく、商品として出回ることは今のところ考えられません。
タンザナイト(無処理)
この天然のブルーのゾイサイトには、肉眼ではほとんど見えないインクルージョンがあります。10倍に拡大してやっと、テーブル面の端の表面から近いところに黒い破片のようなものと、テーブルの真下に光るフラクチュアーが見えます。ブルーという色と明度5という条件が、それらをいっそう見えにくくしています。肉眼でははっきりと見えないインクルージョンは、面キズを除いてほとんど価値に影響しません。透明度や彩度の善し悪しは美しさに決定的な影響を与えますが、見えないキズは美しさを損なわないからです。
品質の見分け方
タンザナイトは、色が濃いめで透明度が高いものが美しいといわれます。特に多色性の程度が少ないサファイヤに似たものを、ビューティグレードSとします。直射日光ではない太陽光線下では、サファイヤブルーのタンザナイトも白熱電灯下ではパープルみがかかり、その程度が少ないものをS、明らかに変わるものをAとしています。
欧米では多色性の程度が少ないものが好まれていますが、日本では多色性をタンザナイトの個性として好む場合もあるようです。タンザナイトはサファイヤの代用品ではないのですから、このようなタンザナイトらしさがこの宝石のアイデンティティとして尊重されるべきなのかもしれません。多色性は研磨の際の角度によって決まることが多く、今後の需要いかんによって最適と思われる研磨に落ち着いていくでしょう。またタンザナイトは軟らかい宝石のため、仕上げが粗い場合が多々見られますので、ビューティグレードの判定に仕上げが重視されます。
選び方
タンザナイトは非常に美しいブルーの宝石です。サファイヤの代用品ではないので、多色性の少ないものにこだわる必要はありません。ただし、あまりにも極端に多色性の出るもの、自然光ですでにパープルみの強いものは避けたほうがよいでしょう。もうひとつ重要な点は、タンザナイトは耐久性が十分ではないので、リング以外のジュエリーで選定するのがよいでしょう。リングは知らないうちにぶつけて、はずみで石欠けが発生することもあるからです。これらの特性を理解して、タンザナイトの美しさを楽しみたいものです。
3カラットサイズのジュエリークオリティの価値は、石のみで、1個当たり1,400 USドルが目安です。 (2004年現在)