一度は楽しみ代として払われた宝石の価格も、品質の良いものは長期的に値上がりします。しかし宝石を買ってすぐ売ろう、あわよくば利益を得ようという人がいたら、それは見当違いです。プロがやっても難しいのにもうかるはずがありません。また、売った値段で買い取り保証をしている店もまゆつば物で、一時的に信用させる販売促進策の一つでしかないのです。危機が発生したり、インフレが来たら買う業者はたくさんいるでしょう。たまたま過去十数年は日本経済が優秀で、ドル圏よりもインフレが小さかったから売りにくかったのです。それは、国際相場より安ければ必ず扱う人が出てくるのが市場経済だからです。
それならば何を買ったらいいのか、私の家内にアドバイスするつもりでまとめてみましょう。ジュエリーは多種多様に存在しますが、ベーシックなものは基本的に5種類です。次ページのようなリング、ブローチ・ピン、イヤリング・ピアス、ペンダント・ネックレス、その他にブレスレットです。リングは主石タイプとバンドタイプが主流です。主石リングは、中でも最も宝石らしいもので品質の吟味が重要なポイントとなってきます。ブローチ、イヤリング、ネックレスにセットされている宝石の品質は、他人に遠くから見られるだけで自分が身につけている時は目に入らないのに対し、リングは常に自分自身に視野にあります。それゆえにリングの主石には、主石の美しさを生かした気品のある指輪という原点を大切にした、納得のいく品質を持ち込みたいものです。ダイヤモンドのソリテール(立爪)は、美しく輝くダイヤモンドが女性の指にそっと載っているような感覚がポイントで、シンプルなものは飽きがこないという主石リングの典型ともいえます。長く付き合う宝石はシンプルなデザインがいいのです。
ブローチは洋服の上につけるもので、直接肌につけるリング、イヤリング、ペンダント、ブレスレットとは異なります。それだけに、衣服の素材や色とのマッチングが重要になります。サイズ直しを必要としないのでピンブローチ、ペンダントヘッドなどはギフトに最適ですが、親しい間柄ではやはり指輪がギフトの中心になっているのも事実です。ジュエリー業界の出荷高も、常に半分が指輪であることがこれを裏づけています。イヤリング、ピアスの需要は大きいのですが、落としやすいのがマイナスになって、単価はリングの1/2が目安となっています。