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宝石辞典

スターの出るコランダムの産地


スター・ルビー、スター・サファイヤのおもな産地はスリランカで、ボディカラーが淡めのものが大部分です。またボディカラーがはっきりした、高い品質のスター・ルビー、スター・サファイヤがミャンマーのモゴック地方から少量産出され、無処理のまま仕上げられます。一方バンコクでは、低品質のインド・スター・ルビーとブラック・スター・サファイヤが、豊富に出回っています。

バイオレット・スター・サファイヤ

バイオレット・スター・サファイヤ


比較的透明度の高いものが入手可能です。バイオレット・スター・サファイヤとインド・スター・ルビーを比較してみると、透明度の違いが、美しさに大きな影響を与えていることがわかります。写真のサファイヤはカボション面が低いため強いライトを当てると、傘を大きく広げたようなスターが、表面一杯に現れます。上から見ると、宝石として味わいのあるものですが、横から見るとベース部分が深いのが気になります。

インド・スター・ルビー


鉱物学的には、スター・ルビーとまったく同じコランダムなのですが、見ためも美しさも異なります。スター・ルビーは半透明ですが、インド・スター・ルビーは不透明に近いものです。それが見ための美しさを低くしている最大の要因です。インド・スター・ルビーは供給が多く稀少性が低いので安価です。ルビーという名前につられておみやげとして買う時は、ジュエリーの素材としては使えないものと、割り切って求めることです。

インド・スター・ルビー

品質の見分け方


見分け方のポイントはいくつかを比較して、どの程度の美しさのものなのか、そして色の濃さはどうなのか、ということに尽きるのですが、もう少し具体的に整理すると、

1. 色=color
2. 星の質=quality of star
(弱い光でも星が強くはっきり出るかどうか)
3. 透明度=transparency
4. 形=shape
5. 星の位置=positioning of star
(カボションの真ん中に星が出るかどうか)

となります。これらの要素のすべてが、全体としてバランスよく満たされていることが重要です。星が強く出ても、ボディカラーの色みがグレーやブラウンであるものは品質が低いものです。スターがほとんど出なくてもボディカラーがよければジュエリーとして役立ちます。

ブラック・スター・サファイヤ


微小な針状のヘマタイト(鉄の一種)などのインクルージョンが、シルク・インクルージョンと同様に作用し、スターを生みます。本来はイエロー、ゴールデン、グリーンなどのサファイヤですが、含有される多種類のインクルージョンにより、褐色のブラック・スター・サファイヤになります。また、4条のスターが出る褐色のものは、ダイオプサイドという別の鉱物です。ともに非常に安価で、おみやげとして販売されています。これらは、「美しく稀少なもの」という定義のある宝石と、ただの鉱物との境界線上の石といえるかもしれません。

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