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宝石辞典

ダイヤモンドの色処理


ライト・ブラウン、ライト・イエロー、カラーレスのダイヤモンドは、放射線処理により、ブルーまたはブルー・グリーンに色を改変することができます。そして更にそのグリーンを加熱処理すると、ブラウン、オレンジ、イエローに改変されます。また、イエローに改変するものの中に、ピンクが偶然に発生します。最近では、赤に仕上がるものも見られます。この写真は色処理ダイヤモンドの代表的なものですが、見た感じが均一な色味で、宝石を見慣れてくると、無処理か人工色処理かの区別が付けられます。さらに、吸収スペクトルの検査によって、処理を明確にすることが可能です。

人工色処理ダイヤモンドは、通常トラディショナルなジュエリーには使われることは少なく、もし使用する場合は、放射線処理ダイヤモンドであることを明確に買い手に伝える必要があります。色処理ダイヤモンドは、比較的低い品質のダイヤモンドを使ってブルーやイエローに仕上げることができます。1カラットの天然ファンシーブルー・ダイヤモンドが10万ドルとすると、同じような色であっても、放射線処理ブルー・ダイヤモンドは2,000~3,000ドルで、価値はまったく違います。

ダイヤモンドの色処理

含浸処理ダイヤモンド


下の写真は、肉眼で見えて美しさを損なう面キズに、液体鉛を含浸させたダイヤモンドです。キズはほとんど隠されて、美しさに影響が及ばないようになっていますが、本来は低品質のダイヤモンドであったはずです。含浸処理のものはクラリティグレード(キズの等級分け)はしない定めになっていますが、処理前のI2(肉眼で見て、美しさを損なう大きなキズのあるもの)が、処理後は肉眼で発見が困難になります。しかし改変されたものは、天然の良質のダイヤモンドと比較すると、輝きに大きな差があるのがわかります。含浸処理されたものは、10倍の拡大で亀裂に独特の干渉色(フラッシュ)を確認できます。現在含浸処理されたものは、米国の市場に出回っていますが、日本市場では今まではほとんど見られません。理屈では、きちんと表示すれば販売できますが、還流された時に、一つひとつ確認されなければなりません。そのため業界としては、今後とも売らぬ方向に持っていくことが必要であると思います。

含浸処理ダイヤモンド
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