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宝石辞典
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アイオライトはギリシャ語で青紫を意味する「イオス(IOS)」と、石を意味する「リトス(LITHOS)」から名づけられました。別名はコーディアライト。上から見るとブルー、もしくはバイオレット、横から見ると、ほとんど無色かごく淡い茶色に見えます。このような不思議な性質を、多色性といいアイオライトに特に強く見られます。サファイヤの青さと水の透明さが連想されたので、長い間ウォーター・サファイヤとも呼ばれてきました。また、数あるブルーの宝石の中でアイオライトは一見しただけで見分けがつきやすいものです。 かつて北欧のヴァイキングは、アイオライトの薄い板を、偏光器として使用し、もや・霧・雲に影響されずに、太陽の位置を確かめて航海したそうです。こうしたことから、アイオライトは「ヴァイキングの羅針盤」ともいわれてきました。

アイオライトは透明なもののみがファセットカットされ、半透明なものはカボションカットされて、ジュエリーの素材となっています。

同じような色みのサファイヤに比べるとはるかに安価ですが、独特のブルーは落ち着いた感じで、ジェムクオリティのブルー・サファイヤの代替品として位置づけるのではなく、アイオライト独特の美しさを楽しみたいものです。一方、低品質のものはカボションカットのほか、カービング(彫刻)にされます。

多くのブルー・サファイヤは、美しい色みを引き出すために熱が加えられていますが、アイオライトは自然のままの色で、一切加熱処理はされていない宝石です。硬度は7~7 1/2で、クオーツ(水晶)よりも硬く、耐久性に問題はありません。現在の産地はスリランカ、インド、ブラジル、タンザニア、ナミビアです。

アイオライトは比較的知名度が低いのですが、その美しさと独特の性質のために十分な産出が確保できれば、今後人気の上昇する宝石になる可能性があります。

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