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宝石辞典

種類と産地


トルマリンの主産地はブラジルで、19世紀からは米国のメーン州、カリフォルニア州でも産出されるようになりました。そのほかマダガスカル、モザンビーク、ロシア、スリランカ、ミャンマーなどでも産出されています。トルマリンは多くが黒色で、これには宝石としての価値はありません。ここでは典型的なグリーン、インディゴライトといわれるブルー及びピンク・トルマリンを説明します。このほか、赤とグリーンのバイカラー・トルマリンも重要ですが、別の機会に取り上げることにしましょう。

グリーン・トルマリン (加熱)

グリーン・トルマリン


トルマリンのグリーンは、あっさりとした美しさを持っています。エメラルドのように深みのある豊かな色というのではなく、ペリドットのように柔らかい感じでもなく、すぐれた研磨によって美しい色が生み出されています。しかし黄色みのグリーン、ブラウンみのグリーンはクオリティスケールで見られるように、ビューティグレードのマイナス要因となります。

ブルー・トルマリン


インディゴライトといわれるこの種のトルマリンは稀少ですが、グリーンみのとれた独特のブルーを出しています。しかしジェムクオリティのものの中では、グリーンのトルマリンに比べ明度がやや濃くなるためか透明度が低下し、若干輝きを失っています。とはいえインディゴライトは希少性が高く、ジェムクオリティではピンク、グリーン、バイカラーを凌ぎ、最も高価なものです。

グリーン・トルマリン (加熱) グリーン・トルマリン (加熱)

ピンク・トルマリン


写真はモザンビーク産で、放射線処理をしていないピンク・トルマリンです。ややブラウンみのピンクですが、放射線処理をしていない点に大きな意味があります。一部のホットピンクと呼ばれるピンク・トルマリン(ルーベライト)は残念ながら放射線処理の疑いがあり、取扱業者の正確な情報伝達と見分け方の確立が急務だといえるでしょう。

品質の見分け方


まず色みを見分けることが大切です。グリーン・トルマリンの色みは、黄色みの強い若草色、グリーンの典型的なエメラルドグリーン、ブルーの強いピーコックグリーンなど幅があります。若草色はあまり好まれていないようですが、グリーンかブルーかの選択は各人の好みとなります。


グリーン・トルマリンは一般に透明度が高く、輝きも強いものです。ビューティグレードがBを下るものは、ブラウンみが強いものです。また、トルマリンの原石は鉛筆のように細長いものが多いので、研磨も細長く仕上がっているものが見られますが、長すぎるものは特別なデザインに活用されるケースを除いて使いにくいので敬遠されます。通常、単価設定には原石時の短辺の長さが決め手になります。


選び方


グリーン・トルマリンは比較的安い宝石なので、思いきって3~10カラットの明るめのジェムクオリティを選びたいものです。大まかにいうと、プレシャスストーン(エメラルド、ルビー、サファイヤ、ダイヤモンド)なら、1000万円の品質のものが100万円で手に入れることができるのです。ただし現在は、産出の割に需要が少ないため、この程度の価格ですが、人気が高くなり求める人が増えれば希少性が増し、価格も上昇することになります。グリーン・トルマリンのようなカラーストーンのジェムクオリティは、将来性の高い有望なアイテムでしょう。


ジュエリーとして身につけるものには淡めのもの、いわゆるパステルカラーが良いでしょう。パステルカラーは電灯光線下では特に美しく映えます。ただしブラウンみのかかったものは美しさに欠けるので、安くても避けたほうが賢明です。アクセサリークオリティは宝石の仲間に入っていますが、美しさに欠けるという点からは宝石の条件を満たしていないという見方もできます。少し資金を貯めてでも、ジュエリークオリティ以上のものを選びたいものです。


3カラットサイズのジュエリークオリティの価値は、石のみで、1個当たり500 USドルが目安です。 (2004年現在)


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