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宝石辞典
トルコ石 (無処理・含浸処理)

トルコ石の歴史は古く、メソポタミア(現在のイラク)では紀元前約5000年のトルコ石のビーズが発見されています。13世紀まではトルコ石という名称は使われず、美しい石を意味する”カレース”という名で呼ばれていたようです。その後、このブルーの石がベニスの商人たちを通じてフランスに渡った際、フランスの買い手たちが”トルコの石”と呼んだことから、トルコ石という名称が一般化していきました。

トルコ石の主要な産地はイランで、ペルシャ産トルコ石は現在でも良質のものとして定評を得ています。西欧では、大きなトルコ石はダイヤモンドで周囲を取り巻いてジュエリーとし、一方小粒のトルコ石は他の大きな宝石の周囲にあしらって使われています。

歴史的にトルコ石とかかわりの深い地域は、世界に二つあります。一つは中近東で、トルコ、エジプト、イラク(アラビア)、イラン(ペルシャ)などでは、トルコ石は幸運をもたらす石として尊重されてきました。

トルコ石とかかわりの深いもう一つの地域はアメリカのニューメキシコ州です。古代メキシコ人たちはこの石を貴い石と賞賛し、黄金よりもトルコ石を重んじてきました。メキシコ王国崩壊後も、この地域の居住民であるプエブロやナバホインディアンらによって、この石は愛され続けてきました。現在アメリカでは、アリゾナ州で数多くのトルコ石が産出されています。トルコ石は次ページの写真のようなペルシャ産の天然のものと、アクリル樹脂を石全体に浸透させて経年変化を防ぐ処理をされているものがあります。

天然トルコ石の最高の品質は純粋なスカイブルーで、明度は4、5が良いとされています。グリーンみを帯びると美しさは減少し、価値も低くなります。メイトリックスの有無は好みによります。

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