産地
トルコ石の最も重要な産地はイランのネイシャプル鉱山で、高品質のものが多く産出されます。ネイシャプル鉱山のものを除いたほとんどすべてのトルコ石は、採れた時には美しいブルーであったものが、1年も経たないうちに白くなってしまうため、アクリルや他の樹脂処理をして変色を防ぎます。シナイ半島産のトルコ石は、品質ではペルシャ産を凌ぐものもありますが、一般には白っぽく砕けやすい欠点があり、メキシコ産は色が澄んでいないという特徴があります。
ペルシャ産
このトルコ石はイランのネイシャプル産で20年以上前に研磨されたものですが、天然のままのスカイブルーの美しさを今も保っています。トルコ石の変色の例として、数百年前の王冠、剣の鞘などにはめこまれた数十個のトルコ石の色が不揃いであるという例があります。作ったときには色合わせをしているとすれば、色の違いは数百年の間のそれぞれの石の変色の差異だと考えることができます。あるものは産出時の美しい色をとどめ、またあるものは変色し、グリーンになってしまいます。同条件下でさえ変化の有無があるということは不思議な現象です。
アリゾナ産
アリゾナ産のトルコ石はペルシャ産に比べてもろく、蜘蛛の巣のようにメイトリックスの入ったものと入らないものが存在します。アリゾナ産は、透明のアクリルを原石の状態で浸透させたのちにカットされます。このアクリルによる含浸処理を施さないと、アリゾナ産トルコ石は変色してしまうのです。
中国産
中国産トルコ石はそのほとんどにメイトリックスが入り、色の濃いめのものが多いのが特徴です。またアリゾナ産と同様に素材がもろく、アクリル含浸処理が必要とされます。グリーンのものが多く、チョーカーなどに使われますが、色自体はあまり美しくないものが多いようです。
品質の見分け方
第一に天然のペルシャ産であるか、アクリルなどの含浸処理の施されたものかどうかを確かめる必要があります。次ページのクオリティスケールは、無処理の天然ペルシャ産と含浸処理をしたアリゾナ産を一表にまとめたものです。天然ペルシャ産のものは、その美しさによってS~Dの5段階に区分します。S・A・Bの石は、市場に出回ることは稀です。
アリゾナ産、中国産のものは天然のままだと変色し美しさを損なってしまうため、含浸処理は仕方のないことですが、本書ではこれらもビューティグレードのDにランクし、アクセサリークオリティと考えます。
第二に天然ペルシャ産の無地のものとメイトリックスの入ったものの評価ですが、バランスよくメイトリックスが入ったものと無地のものとを同一ランクであると考えます。美しさに欠けるメイトリックスのパターンは、それ自体でマイナス評価となります。
第三に天然ペルシャ産、含浸処理に共通して品質の決め手といえるのが、グリーンみの有無と形(なり)の良さです。
選び方
天然ペルシャ産の優れたジェムクオリティの石をペンダントやリングにして身につけるのは、洗練された贅沢だといえます。ただし天然のものは薬品に弱く、また変色しやすいので、取り扱いには細かい注意が必要です。
含浸処理をしたトルコ石は、変色の心配がなく、天然のものに比べて薬品にも強いといえます。ブルーの濃淡とメイトリックスの入り方のパターンは千差万別ですが、もともと稀少性の低いものなので価値に影響はありません。トルコ石のモース硬度は5~6であるため、耐久性が低いことに留意して楽しむことが必要でしょう。またトルコ石には模造石や合成石が多いので、注意が必要です。
2グラムサイズのジュエリークオリティの価値は、石のみで、1個当たり130 USドルが目安です。 (2004年現在)