日本で翡翠(ひすい・ジュード)と呼ばれている宝石はジェダイト(硬玉)を意味し、通常グリーンの輝石の一種です。ジェダイトがミャンマーから中国に伝わり日本に本格的に持ち込まれたのはわずか200年ほど前で、その歴史は意外に浅いのです。中国で4000年来、翡翠(ジュード)とか玉として彫刻などに用いられてきた石は、ネフライト(軟玉・角閃石の一種)やその他の鉱物です。ジェードの語源はスペイン語のピエドラ・デ・ジャーダで、腰痛を治すまじないの石を意味しています。ヒスイは、日本人と中国人に最も好まれています。
ヒスイの原石は不透明で、その一部のグリーンの部分をスライスして取り出します。エメラルドやルビーなどの透明な宝石は原石のママ内部の状態を大まかに判定でき、プラスマイナス30%の誤差で上がりも予想できるといわれています。それに対して、ヒスイの原石は不透明なため、全くのギャンブルで取引されているといえます。香港のヒスイ市場では価格差が激しく、仕入れには価値の判断ができることが不可欠です。研磨されたヒスイは、午前中の光で判定するのが良いといわれています。良心的な業者は得意先に見せる時には雨の日は避け、常に同じ条件になるように心掛け、得意先にとって安定した仕入れとなるように配慮しているようです。
次ページのヒスイは最高品質の一つで、透明度の高いグリーンがよくのった、いわゆるインペリアル・ジュードです。この品質を昔からロウカンと呼んでいます。ビューティグレードSとAの差は透明度の差に負うところが大きく、ジェムクオリティではSとAを比較すると、とくに白熱電灯下で透明度の高いものに青みが見られます。この手のものはセイカンと呼ばれます。ジェダイトの硬度は6 1/2~7ですが、耐久性はダイヤモンドよりも高いという点で優れた宝石です。