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宝石辞典

他のガーネットの種類


ガーネットにはブルー以外のすべての色が存在します。100年前のヨーロッパでは、宝石店のウィンドウの半分以上が、各種の色のガーネットで占められていました。現在多くの宝石に加熱や含浸処理が施されていますが、ガーネットはダイヤモンド、アレキサンドライト、クリソベリル・キャッツアイ、ペリドットなどとともに、無処理のままで美しい、貴重な宝石です。



ディマントイド・ガーネット


1860年代からロシアのウラル山脈で採掘されたのが、ダイヤモンドのように輝くグリーンのガーネット、ディマントイドです。当時欧米で人気のあったこの宝石の採掘は1917年のロシア革命によって中止に追い込まれました。そして1980年代終わりのソ連のペレストロイカで採掘を徐々に復活させています。なかには、還流品としてオークションに出されて、1カラット当たり1万ドルを超える値がつけられるものもあります。ツァボライトよりも黄色みが多いものです。

伝統的な宝石の中でダイヤモンドより光りの分散が強いものはこれ以外にありません。独特の美しさはこの強い分散光にあります。屈折率も宝石の中では高めの1.875です。

ディマントイド・ガーネットはその他イタリアと南西アフリカで採掘されます。

マンダリン・ガーネット


さまざまな色を持つガーネットの一種に、みかん色をしたマンダリン・ガーネットがあり、1992年から市場に出始めました。アフリカのナミビア北西部から産出され、結晶は通常24面体で、その大きさは2~25ミリと報告されています。この写真は、マンダリン・ガーネットの中でも特に透明度が高く、美しいみかん色をしているものです。10倍のルーペで見ると、石全体に布が波打ったようなベール状のインクルージョンが観察できるのが、その特徴の一つです。



パイロープ・ガーネット


パイロープ・ガーネットは、サイズが小粒です。19世紀にヨーロッパのブルジョアの間で大流行したジュエリーにも、小粒サイズのパイロープ・ガーネットがよく使われています。燃えるような赤色ですが、原石には黒みのあるものが多いため、テーブル面を大きくクラウンを薄く仕上げて透明度を高め、石が暗くなりすぎるのを抑えています。16世紀初めから19世紀末まで、チェコのボヘミア地方が主産地でした。

品質の見分け方


透明度が高く、グリーンの濃淡のモザイク模様のコントラストが特に美しい、明度(tone)が4~6で、ビューティグレードのS、Aがジェムクオリティです。3カラット以上のジェムクオリティのものは、産出量が少なく高価です。同じガーネットの種類でも、赤系統のアルマンダイトの10カラットが容易に手に入るのと対照的です。

濃いめ(明度5、6)が好まれるか、淡め(明度3、4)が好まれるかは、民族や個人による違いがありますが、仕立てられるジュエリーに似合う明度であることが、最も大切です。また、ビューティグレードがSである限り、美しく輝きのあるものです。明度については、より多くの人が3を好むのであれば、そのぶん需要が増え、稀少性が高くなります。品質の3ゾーンの範囲は絶対的なものではなく、時代とともに変わりうるものです。

選び方


カラーストーンの中では、ツァボライトは小粒なものが多いので、やはり力強い輝きを持つジェムクオリティのものをおすすめします。その最適な濃淡は、宝石のサイズまたジュエリーのスタイルや石を留める方法によって異なります。ジュエリーには、明度3のS、Aもおすすめです。明度7はルースで持つ宝石愛好家向きで、ジュエリーには避けたほうが無難です。明度が7になると、強い光の下では深みのある美しさを発揮しますが、弱い光の下では黒く見えてしまうからです。

1カラットサイズのジュエリークオリティの価値は石のみで1個当たり1,000USドルが目安です。(2001年現在)

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