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宝石辞典
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無処理のエメラルドは原石の質の良い部分だけを研磨して宝石にしたものです。右のエメラルドは、0.7カラットのザンビア産の無処理のもので、美しいグリーンをしています。よく見ると濃い面、淡い面、反射している面が構成するモザイク模様のバランスがとれているのがわかります。

無処理のエメラルドには多くの場合若干のキズが目に入ります。エメラルドの結晶はキズが多いのでカッターは全てを避けて研磨することは不可能だからです。美しさと耐久性に大きく影響しない限り、あまり神経質にならずに全体を見て品質を判定することが必要です。無処理のエメラルドはオイルや樹脂を石層に含浸してキズを隠していないので、経年変化でキズが目立って美しさを失うことはありません。宝石は自然の力が造ったものなので完璧を求めることは間違いです。それが欠点とならなければ不完全を許容する判断力が我々に求められているのです。

下のエメラルドのリングは両サイドにオーバルシェイプのブリリアントカットをセットしたスリーストーンリングです。スリーストーンリングは宝石の連鎖の美しさを引き出す伝統的な装身具のスタイルです。エメラルドは角を守るため幅広のイエローゴールドでプロングセットされています。エメラルドはイエローゴールドにセットするとグリーンに黄色味が加えられ一層美しさが引き出されます。特にブルーの強いザンビア産エメラルドにはイエローゴールドとの組み合わせは必須です。

無処理のエメラルドが多い産地はジンバブエのサンダワナ鉱山です。平均0.08カラットと小粒のものですが低品質のものを除いてオイル処理をしていません。その他パキスタンのスワット、アフガニスタンのパンシール、ブラジルの無処理のエメラルドがあります。またコロンビア産のキズの極めて少ないものに無処理と判定出来るものがあります。

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