ボルダーは英語で「大きな丸い石」を意味します。このオパールは、オーストラリア・クイーンズランド州の「丸い石」から見つかるので、ボルダー・オパールと呼ばれます。ボルダー・オパールは、鉄鉱石の母岩(メイトリックス)の中に付着しているオパールの帯のような層を、母岩とともに取り出し、研磨したものです。オパールが表面全体に出ているフルフェイスと、上から見ると部分的に母岩が見えるパーシャルフェイスがあります。
クイーンズランド州では、ヨーワ、クィルピ、ウィントンの3地域で、20世紀初めからオパールが産出されてきました。最初の頃はほとんど、母岩の中のオパールの部分だけを取り出して研磨していましたが、1960年代からは、オパールを含んだ今まで捨てていた部分を母岩ごと研磨し、ボルダー・オパールに仕上げるようになりました。さら1980年代以降、母岩の層に合わせて、さまざまな外形や厚さのものが作られています。
ボルダー・オパールへの変遷は、宝石の資源枯渇を象徴するものでもあります。
カッターがボルダー・オパールを研磨する時は、形は最大限オパールを残して母岩を有効に使いフリーフォームにします。まれにオーバル(小判型)などに再研磨することもあります。右の写真のボルダー・オパールは、表面が平らなフルフェイスで、色の斑がはっきり出ています。これを遊色効果と呼びその善し悪しがオパールの品質の鍵を握ります。ひとつひとつ異なった姿と、色の輝きがボルダー・オパールの魅力です。
水分を多く含む一部のメキシコ・オパール、ライト・オパールは、脱水などによってひび割れの問題を起こしますが、ボルダー・オパールにはほとんどその心配がありません。しかしオパールは衝撃に弱いので、硬いものにぶつけたりしないよう注意する必要があります。また、ダブレットやトリプレットという貼り合わせの模造品が、ボルダー・オパールとして売られることも多いので、信用できる店を選ぶことが大切です。