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宝石辞典
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メキシコから産出されるオパールの中で、カボションカットにすると赤、橙、黄、緑などの斑が出る遊色効果の美しいものがあります。それらのうち、ボディカラーがブルー系のものをウォーター・オパール、オレンジ系のものをファイヤー・オパールと呼びます。すでにアステカ文明(14世紀半ば~1520年にメキシコで栄えた文明)ではジュエリーに使われていました。その後1850年頃、メキシコのオパール鉱山が再開発されました。

メキシコ・オパールの魅力は、透明度の高い空間の中に、7色の輝きのパターンが、角度によって変化して見えることです。ウォーター・オパールは色の輝きが透明な水の中に、ファイヤー・オパールはそれが炎の中に閉じ込められたように見えます。一般的には、透明度が高くなると斑の出方が弱まるので、ほんとうに良質のものは、相反する要素を併せ持っている稀少な存在です。

メキシコ・オパールは1960年前後にブームとなり、日本人が好んで買いました。その頃はダイヤモンド、ルビー、サファイヤの次に人気が高かったようです。しかし1970年を境に脱水によってヒビ割れするものが続出したため、商品としての力はなくなってしまいました。ヒビ割れは研磨直後に入るもの、2年程経過して入るものなど、さまざまです。近年、リモデル(作り替え)にメキシコ・オパールのリングが持ち込まれるのが多いことも、かつての流行を物語っています。 現在は小規模ながら新たに研磨されるメキシコ・オパールが市場に復活しています。採掘する人はどこの採掘スポットのものが良いかを熟知しており、それを原石の価格に反映させています。信用を重んじる業者はヒビ割れの出ない原石を入手し、3~4年かけて品質を確認してからカットします。宝石は「何を買うか」よりも「誰から買うか」が大切といわれる一例です。

メキシコ・オパールは身につけて、自然に湿気を与えることが大切です。裏の汚れを取る時は、超音波洗浄を避け、石鹸とブラシを使うのが賢明です。

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