Photo: Ring, Gold
Diamond25pcs
Untreated
2.19ct
メレー・ダイヤモンドとは小粒のダイヤモンドのことを指します。日本では0.2カラット未満のものをいい、通常のダイヤモンドとは区別して扱われています。メレー・ダイヤモンドは、数個まとめてデザインされるジュエリーに使われたり、他のカラーストーンを引き立たせる脇役であったりします。ちなみに、本所に掲載されている、ほとんどすべてのジュエリーにメレー・ダイヤモンドが使われていることからも、宝石を語る時に忘れてはならないものです。
第2次世界大戦以降、メレー・ダイヤモンドはベルギーのアントウェルペンやドイツのイーダーオーバーシュタインなどで研磨されていました。しかし戦後の復興とともに工賃が上がり、まずドイツのイーダーオーバーシュタインがメレー・ダイヤモンドの研磨地しての地位を失いました。一方、1960年代にインドの研磨が急速に力をつけてきました。工賃の安さ、優れたマネジメント、ジュエリーに対する伝統的な理解などの要因からその後も発展が続き、ピーク時には研磨工が100万人を超えるほどになり、現在でもメレー・ダイヤモンドの研磨工と生産個数は、インドが世界の90%以上を占めています。
下記の、世界のダイヤモンド原石の約70%を流通させているダイヤモンドシンジケートである、ロンドンのデ・ビアス社がインドに供給しているのは、形が不揃いで小粒なため研磨に時間がかかる原石です。形の良い粒揃いの原石は、タイのバンコクの研磨業者に供給しています。現在バンコクには約5000人の研磨工がいて、良質の原石に優れた研磨が施された次ページの写真のようなメレー・ダイヤモンドが生産されています。良質のジュエリー用の58面のフルカット、高級時計用のシングルカットのメレー・ダイヤモンドはバンコクで研磨されているものが多く、バンコクの研磨の質が高いことがうかがえます。
現在、メレーを数個使ったジュエリーのかなり良質なものでも20万~30万円で買うことができるのは、インドやタイの工賃の安さの恩恵を受けているからです。
メレー・ダイヤモンドも原石の形、色、品質は千差万別で、産出国とその鉱山によっても異なります。ピラミッドを二つも合わせたような正八面体、サイコロのような立方体、不規則な物などさまざまな形があり、色も無色、イエロー、ブラウン、グリーンなどが石全体の色であったり表面だけの色であったり、さらにインクルージョンの程度もいろいろです。分類の方法は多々ありますが、本書ではカットされたメレー・ダイヤモンドの品質がわかりやすいように、ラウンドブリリアント・ダイヤモンドと同じように三つに分類して説明します。
メレー・ダイヤモンドでもソーヤブルは研磨も比較的容易で、優れたカットに仕上げられます。ただし正八面体を研磨すると、半分以上が粉になって飛んでしまい、宝石用ダイヤモンドとして仕上げられるのは原石1個につき、その42~43%になってしまいます。それ以上、たとえばなんとか45%の重量を残そうとするとカットの角度や形が最適でなくなるため、美しい輝きが低下してしまいます。買いつけのプロはそれを見抜き、価格交渉のポイントにするのです。
このメイカブルは、次のニアー・ジェムと合わせて全宝石用原石の80~90%を占めています。形がまちまちのため、一つひとつどのように研磨するかが見当されます。特に品質の低い原石ほど一定方向に硬い層があったり、研磨の際の障害が大きくなるのです。それを可能なかぎり美しく磨き上げるのが、研磨職人の腕といえます。メイカブルの減耗率は75%前後です。
工業用ダイヤモンドから見てニアー・ジェム、つまり宝石用に近い品質という意味で、品質が劣るものを指します。オーストラリアの原石はブラウン系が多く、研磨にも他のものの3倍の時間がかかるといわれています。メレーのような小粒の原石でも、ニアー・ジェムのものと高品質のソーヤブルには数十倍以上の価格差があります。ダイヤモンドをはじめ宝石の品質を知るには、原石から入ると全体像の理解が得られます。
メレー・ダイヤモンドにも品質の善し悪しには大きな差があります。カラー、クラリティの稀少性は大粒のダイヤモンドに比べ価値への影響は少なく、見分けのポイントは”美しい輝き”です。そのポイントになるのは”原石素材の良さ”と”カットと仕上げの良さ”です。ビューティグレードがSのものは美しく輝いていて、こうしたメレーで作られたジュエリーはより美しく輝くのです。
通常ビューティグレードのSとDの価格差は4倍近くありますが、極端な場合には10倍になることもあります。にもかかわらず、同じカラット数のSとDが同じダイヤモンドとして販売されているところに、購入者を混乱させる根源があります。たとえば、ビューティグレードがSの1カラットのダイヤモンドを使った、本来50万円のリングについて考えてみます。これを35万円で購入できれば、それは本当のお買い得といえます。しかしビューティグレードDの1カラットを使った本来10万円のリングを、50万円の5割引として25万円で販売しているところがあれば、それは明らかに不当販売です。信用できるお店から、品質の説明を受けて購入することが大切です。
ダイヤモンドの命は”美しい輝き”です。小粒のダイヤモンドを使ったジュエリーの場合でも同じで、同じカラット数の価格の上中下のものを比べてみると、それがよくわかります。10万円台のジュエリーではジュエリークオリティで十分ですが、30万円以上のものにはジェムクオリティを勧めます。使うたびにその輝きを楽しむことができるでしょう。
またシングルカットは高級時計に使われていますが、直径1.3mm前後のものではブリリアントカットよりも強く輝きます。指輪などのジュエリーにも再度シングルカットが使われる時代が来るかもしれません。
0.03カラットサイズのジュエリークオリティの価値は、石のみで、1個当たり40USドルが目安です。 (2004年現在)
輝き、分散光、きらめきの美しさを楽しむ無色から淡い黄色のダイヤモンドとは異なりますが、20世紀後半からオーストラリア産の茶色(ブラウン)が市場に出回りました。現在では全ダイヤモンドの40~50%を占めると言われています。上右の写真はDARK (TONE7)、MEDIUM (TONE5)のブラウンのダイヤモンドです。大きめのもののなかには特別な美しい色合いを持つ、「シャンパン」、「コニャック」等と呼ばれるブラウンダイヤモンドもありますが、殆どのブラウンダイヤモンドは稀少性は低く安値なものです。
クオリティスケール上でみた
品質の3ゾーン
1カラットサイズに研磨される
宝石中で占める個数の比率
価値指数表
| ct size | GQ | JQ | AQ |
| 0.1 | 8.0 | 4.0 | 1.2 |
| 0.03 | 2.0 | 1.0 | 0.2 |
| 0.01 | 0.8 | 0.3 | 0.08 |
| GQ-ジェムクオリティ | |
| JQ-ジュエリークオリティ | |
| AQ-アクセサリークオリティy | |