ごあいさつ

第 16 回 アンカットダイヤモンドジュエリーコンテスト

16 回目となる本年度のコンテストには、225 作品のご応募をいただきました。ご応募いただいた皆様をはじめ、審査員の皆様、各関係機関の方々のご協力により、無事にコンテストを開催することができました。心より御礼申し上げます。

今年は、特に形に個性のある 3 種類の魅力的なアンカットダイヤモンドをテーマ石とし、多彩な作品が集まりました。国内外の学生の方々やジュエリーを愛する方々、さらには多種多様な業界でデザインや商品開発に携わる方々など、幅広い層の皆様からのご応募をいただき、非常にレベルの高い、見応えのある作品が揃いました。

その中から、最優秀賞 1 作品、優秀賞 2 作品、プレス奨励賞 2 作品、佳作 6 作品を選出いたしました。審査は例年通り、一次・二次審査をオンライン上で実施し、三次審査は審査員が一堂に会して対面にて行い、製作作品 3 点を決定いたしました。最終審査では、約 1 か月かけて製作された作品を実際に手に取って評価を行いました。

審査員の皆様には、「提案力」「実現性」「話題性」「革新性」などの観点から詳細に採点していただき、公平かつ公正に審査が行われました。本年度は、昨年以上に学生をはじめとした若い層の入賞が目立ったことも、大きな特徴の一つです。

アンカットダイヤモンドの魅力をより多くの方へ。
SUWA は今後も、コンテストを通じてその可能性を広げてまいります。

令和 7 年 9 月吉日
諏訪貿易株式会社
取締役社長 横川 道男


審査結果発表

最優秀賞

作品タイトル【雅影】

【星宿の結晶】
テーマ石 C
上久保 泰志 さん

作品タイトル【星宿の結晶】

応募者のコメント (デザインの意図)

トライゴンの美しさに着想を得て、夜空に浮かぶ星々や星座を思わせる美しく幻想的な輝きを表現しました。全体を三角形の面で構成し、岩肌のように荒らした面と、石に面する鏡面のコントラストを作ることで生まれながらの艶や透明感を引き立たてています。また、三角形の辺に沿って爪を配置することでリング全体のボリュームを抑えつつ、宝石と地金の一体感を表現しています。

審査員からのコメント

菅原 晴子 氏
三角形の面でリングを構成したことによって、三角形のアンカットダイヤとリング全体の一体感があり、しかもアンカットダイヤが主役になっているところが素晴らしいと感じました。
また、石枠が無くとも安定しており、シャカ玉で石を留めることで洗練されたデザインになっています。荒らし方も岩肌になっており、鏡面仕上げの面とのバランスも良いです。星をコンセプトにしているので、金のシャカ玉が星座で、岩の様なデザインは星の岩を表現したのでしょうか。もし、そうであれば、もう少し分かりやすく説明があると良かったと思います。
長嶋 泰子 氏
トライゴンのテーマ石の特長をよくとらえ活かされた作品です。デザイン画、制作指示ともに丁寧であり、作者のイメージがそのまま仕上がったかと思います。
製作者も素晴らしく、最優秀賞にふさわしい作品になりました。特に金属の表面の仕上げのコントラストは美しく非常にインパクトも強く仕上がっていますが、それ以上に石の個性を魅せることができていることが、今回の評価の最大のポイントです。また、各頂点に配されたシャカ玉も程よいアクセントになっています。ものづくりに対する応募者の素晴らしい姿勢を感じる完成度の高い作品となりました。
野澤 治仁 氏
このリングは三角形の面で構成され、テーマ石の三角形を良く生かした作品です。表面にほどこされた岩肌のようなテクスチャーと上部の鏡面仕上げとのコントラストも効果的です。各頂点に施こされた K18YG のシャカ玉はプラチナリングを引き締め、効果的な良い作品になっています。
松川 覚 氏
トライアングルと星座という着想が面白い。リング全体を 3 角形を展開して作り鏡面と荒らし面を上手く使って中石のアンカットダイヤを違和感なく指輪の中に収めている。
K18 イエローゴールドの釈迦玉も星座図のイメージをよく表しているし、プラチナの表面処理もベタなマット処理ではなく何か夜空ですと言えば納得できそうなテクスチャーになっている。リングの下半分(腕部分)は左右対称で良いのではと思うがデザイナーの拘りなんだろう。
装着時に釈迦玉は少し痛いと思うがそこもデザイン優先かな。
吉田 由子 氏
「星宿の結晶」というロマンチックなテーマをスタイリッシュに表現しながら、マクルの持ち味も最大限引き出している作品です。星(ゴールドのシャカ玉)を線(リングの稜線)で結ぶアイディアも新鮮。デザイン画自体も緻密で正確、丁寧に考えられていることが一目で伝わってきました。職人松川氏による、「岩肌のような仕上げ」の解釈も素敵!

職人の方からメッセージ

最優秀賞【星宿の結晶】
制作者 松川 覚 氏
ジュエリークリエイター マンモス主宰

ここ数年コンテストでトライアングルを展開した作品を作っていたので、すんなりとデザインを受け入れられた。少し歪なアンカットダイヤをリングにバランス良く収める為に上部の 3 角形のズレは直ぐに理解できたが,下部のズレは何故?と思いながら作った。デザイナーにとっての星座感だと理解したが指輪、ジュエリーとして必要かなと思います。左右対称でも充分に表現されているのだから。
このデザイン画は完成が高いので夜空を表しているテクスチャーには気を使って時間も割いた。又指示書で石座の処理の仕方が有り皿状にして照り返しを有効に使うことが書いてあり良くこの中石を理解していると感心した。釈迦玉を星座として角に置くなんて職人さん泣かせだと思いながら釈迦玉のチクチクをデザインで上回っているなと再び感心。
これからも面白いデザインを期待しています。

制作現場


優秀賞

作品タイトル【Samara】

作品タイトル【Samara】
テーマ石 B
内潟 咲星 さん

作品タイトル【Samara】

応募者のコメント (デザインの意図)

空から、静かに舞い降りる楓の実。その小さな翼の中に、確かに宿る命の源。このブローチは、アンカットダイヤモンドを「命の核」として包み込んだ楓の実をモチーフに胸元へとそっと舞い降りる一粒の種子としてデザインしました。磨かれていない石が放つ、飾らない原初の輝きは、まだ見ぬ可能性や、静かに燃える内なる力の象徴です。この小さなかたちが、身につける人の中に眠る"種”を呼び覚まし日々の中で育まれていく存在となりますように。あなたの胸に新たな物語が芽生えることを願って。

審査員からのコメント

菅原 晴子 氏
テーマ石をハートに例えているデザインが多い中で、楓の実としてデザインし、美しくまとめたところを評価しました。ダイヤとジュエリー全体の大きさのバランスも良く、美しい曲線、そしてメレダイヤを加えたことで、高級感のある上品なジュエリーになっています。ただ、コンテストとしては、インパクトや提案性に欠けるところが最優秀賞に選ばれなかった原因でしょう。しかし着用性も良く、多くの方が魅力を感じるジュエリーなので、商品としては素晴らしいと思います。
長嶋 泰子 氏
テーマ石 B は、これまでのコンテストで出題されたテーマ石の中でも特に個性的な石で、この石を使った作品は今回の応募作品の中でも全体的にレベルが高いように見受けられました。
多くの応募者が、この石を「ハート型の石」に見立てている中で、別の着想を得たデザインにしたことで、目を惹く作品となりました。楓の実に見立てて組み立てたストーリーや石の扱いについても、作者の想いや瑞々しい感性を垣間見ることができます。個人的に惜しいと思った点は、実作にしたときの全体の形状の流れがやや平面的で、少し不自然になってしまったことです。もう一歩踏み込んだ製作指示を書き加えられるとさらに良くなると思います。
野澤 治仁 氏
楓の翼果の種子にテーマ石を見立てたアイデアとデザインの面白さが目を引きます。種子の羽部分に配置されたメレダイヤモンドも心惹かれます。実際にラペル(襟)につけたときのサイズ感も想像でき軽やかでバランスの良い作品です。
松川 覚 氏
テーマ石のフォルムからインスピレーションを得てハートの形からデザイン展開している人が多い中、楓の実をモチーフにして実の形をあまりデフォルメせずにそのままの形に、そのままのアンカットダイヤバランス良くを置いているところに洗練されすぎていない親しみを感じるデザインとなっている。全体のバランスも良くデザイナーのセンスの良さを感じました。
吉田 由子 氏
サイズ感、メレダイヤモンドの配置など、全体のバランスが心地よく、日々にさらっと身につけたくなる軽やかさが良いです。応募作品の中で唯一、ハート型を種子に見立てた作品で、なるほど、と思いました。デザイン画もこのまま額装しても絵になりそうで、好印象でした。

職人の方からメッセージ

優秀賞【Samara】
制作者 横山 達三 氏
銀座 OZU ジュエリー教室 & ジュエリー工房
https://www.ozu-jewelry.com/

制作にあたり、種子の質感や構造をネットで参考にし、糸鋸で透かしのラインを切り出しました。その後はヤスリで成形を行いました。

アンカットダイヤモンドの爪やメレダイヤの枠をつける前に、実物にはない葉っぱ部分にカーブやウネリを付けて、より立体的に仕上げました。

光沢仕様でしたが、アンカットダイヤモンドが目立たないため、一度サンドブラストでマット仕上げを行いました。その後、石留めをし、仕上げにもう一度マット加工を行って完成です。優しい感じの表情に仕上がったと思います!

制作現場


優秀賞

作品タイトル【solar eclipse】

作品タイトル【solar eclipse】
テーマ石 A
村田 臣人 さん

作品タイトル【solar eclipse】

応募者のコメント (デザインの意図)

このリングは日食の始まりと終わりに見られる輝きを表現しました。この現象は俗に"ダイヤモンドリング"と呼ばれ、美しいものの一つとして数えられています。デザインに関しては主にダイヤモンドを引き立たせるようセンターに配置して、リングに関しては太陽と月を甲丸で再現し中石を中心として K18 と Pt900 で上下に少しずらしてデザインしました。テーマ石 A は八角形であるものの何処か定まらない形をしていてそこが光の輝きに見えるよう日食の一場面をリングにデザインしました。

審査員からのコメント

菅原 晴子 氏
テーマ石が正八面体ではなく少し傾いていることを良く観察し、それを日食のダイヤモンドリングとして表現したところが興味深いです。ただ、アンカットダイヤがテンション止め、もしくは少しだけ支えを付けることで留まると良かったのですが、どうしても留まらないとの事でした。また、実作品は甲丸線ではなく、円盤状になっていたので印象が違ってしまいました。シンプルで現代的なデザインなので注目していたのですが、指示書が正確でなかった事により、図面通りに制作する事が不可能だったところが残念です。挑戦的な新しいデザインと実制作との兼ね合いが難しいと感じる作品でした。
長嶋 泰子 氏
テーマ石 A の代表的なアンカットダイヤモンドの正八面体に少しズレが生じているという特徴に着目した視点を評価して、この作品を実作することに決めました。しかし、実作にあたって製作指示がやや不明瞭なこともあり、結果として、完成品は作者の意図とは少し違ったものになったのかと思います。
アイデアを形にすることは困難が伴う場合もありますが、トライ & エラーを繰り返すことで、より洗練されたものを産み出すことができます。日食から引き出されるアイデアはロマンを感じます。これを元にして様々なデザインを考えてみると、もっとしっくりした形が見つかるのではないかと思います。
野澤 治仁 氏
このリングは太陽を K18YG で月を PT950 で表し、テーマ石を上部に配置しリングを少しずらすことで「ダイヤモンドリング」金環日食の輝きを巧みに表現した作品です。リングの厚みや幅などボリュームがあるので実際に使用するとき、少し疑問はあるが興味を惹かれる作品です。
松川 覚 氏
「エクリプス』この響きに惹きつけられたのだと思う。想像したのだ――リングから射す日の光、眩いきらめき、ダイヤモンドの光。
製品として上手く表現出来るのではと考えました。もう少し星 (月、太陽) 想わせる工夫、テクスチャーなどがあればより良く表現できたのではないかと思います。
吉田 由子 氏
今回、1 番選出に難航したのがテーマ石 A でした。一見、幾何学的でシステマティックに留まりそうなソーヤブルが、案外いちばんの曲者だった...というのは実際に作っていてよく感じることです。「なぜか定まらない形」というテーマ石の性格を見抜いて、日食で生じる、太陽に対する地球の位置の「ズレ」とリンクさせたところに、面白さを感じました。ただ完成品として見ると、地金の無機質さと、テーマ石の性格がマッチしておらず、もったいなく感じました。デザイン画に記載の寸法も詰めて見直したい点です。

職人の方からメッセージ

優秀賞【solar eclipse】
制作者 川島 昇 氏
ジュエリー工房 カワシマ

今回の製作で気を付けた点:レーザーを使えれば良かったが、今回は金とプラチナがくっついているデザインなので、ロー付けを選択。
・レーザーの場合、金とプラチナが互いに溶け合って接着することになるので、それぞれの地金が混ざり合い綺麗な直線で仕上げられない。
・ロー付けであれば問題ないが、一度仕上げた後に火を入れるので、パーツ組み立て後の内側の磨きがその分大変になるが、総合的にロー付けの方が良いと判断した。
・また石もテンションセッティングできるものではないため、できるだけ爪を目立たないようにして留めた。

応募者にアドバイス:石がどういうものかしっかり観察し、留め方を考えよう。
・角が鋭利なら二点でも比較的しっかり留めやすいが、角に丸みがあり、引っかかりの悪い石なので、必要以上に地金を被せる必要がある。

制作現場

作品タイトル【solar eclipse】

プレス奨励賞

作品タイトル【初心】
テーマ石 B
Liao,Jia-Sian さん

作品タイトル【初心】

応募者のコメント (デザインの意図)

デザインは柔らかく絡み合う金属ラインでハートの輪郭を描き、側面に花びらのような柔らかな曲線を持たせることで、硬質な素材に軽やかな印象を与えています。中心には自然が生み出したハート型に近いダイヤモンド原石を配し、金属ラインが原石を包み込むように守っています。左右非対称のハートデザインは、原石の自然な姿と響き合い、純粋で静かな愛の守りと、ありのままの美しさ、そして愛の初心をそっと映し出しています。

審査員からのコメント

清水井 朋子 氏
世界にただ一つのアンカットダイヤモンドのユニークなフォルムを主役に甘くなりすぎない大人のハートモチーフに仕立てていると思いました。
左右非対称の動きのあるデザインも素敵ですが鋭角な先端部分は着用した際に肌や服を傷つけないか検証が必要かなと感じました。
源川 暢子 氏
ハート型のアンカットダイヤモンドを、大切に包み込むような優雅なフォルムで仕立てられたリングは、ジュエリーとしての魅力がひと目で伝わってくる作品でした。〝ハート〟のモチーフは、愛らしさ、優しさ、柔らかさなどを備えた、ジュエリーを手にする人にとって永遠の憧れだと思います。それが、自然のままの姿で誕生する奇跡、不思議も感じさせてくれました。ぜひ着けてみたいです。

宮坂 敦子 氏
ハート型、しかもブルーの強蛍光を発するこのアンカットダイヤモンドは、まさに地球の奇跡の凝縮です。この抜群に可愛らしくて貴重なダイヤモンドを生かした、可愛らしさとシャープさを併せ持ったリングだと思いました。アンカットダイヤモンドを最大限露出させて留めているため、着けている間は常にその全貌を目にして楽しめます。ハートの先端の鋭角は実作品にする場合は加工が必要になりそうですが、輪郭が 2 本の指にまたがるデザインは動きがあってダイナミック。世代を超えて装いのポイントになりそうです。
本間 恵子 氏
今回のテーマ石の 1 つにハート形のアンカットダイヤモンドがあり、さぞや愛らしい作品が現れるであろうと思っていたら、そうでもなかった。デザインとしてうまく消化するにはハートの形の方が強すぎたのかもしれない。その点「初心」は石の個性的な形を生かしつつ、こなれたデザインに仕上げている。
渡辺 郁子 氏
「初心」はプレス審査員全員一致の作品です。プラチナラインの大胆な流れやボリューム感がハートシェイプのダイヤモンドとバランスよく調和しているところに注目しました。ハートモチーフは可愛らしいデザインになりがちですが、この作品からは力強さと生命力を感じます。


プレス奨励賞

作品タイトル【ピラミッド】
テーマ石 A
瀬戸 ひかり さん

作品タイトル【ピラミッド】

応募者のコメント (デザインの意図)

アンカットダイヤモンドをピラミッドの頂点にしたリングです。ピラミッドの不思議さとアンカットダイヤモンドの神秘性があわさり、身につける人に人知をこえた力を与えてくれるようデザインしました。

審査員からのコメント

清水井 朋子 氏
地球が生み出した八面体のアンカットダイヤモンドと人類が創造したピラミッドを組み合わせるという、ありそうでなかった発想を評価しました。審査の中では八面体の半分しか表面に出ないデザインで良いのか、デザイン画に裏取りの指示がない、といった指摘もありましたが、八面体のアンカットダイヤモンドのジュエリーを象徴するアイコンとなり得るアイデアだと思い選びました。
源川 暢子 氏
八面体のアンカットダイヤモンドをピラミッドの頂点に見立てたリングは、力強いイメージとメッセージ性が感じられました。発想自体は、古来お守りとして愛されていたアンカットダイヤモンドのリングから来ていると思いますが、これはリング自体をピラミッドに見立ててしまうアイディアが面白かったです。「初心」と対照的に、こちらは少し尖ったイメージでした。

宮坂 敦子 氏
ピラミッドというはるか古代の悠久な歴史を感じさせる造形物と、気が遠くなるような地球の営みから生まれたアンカットダイヤモンドは非常に親和性が高く、よくぞこの組合わせを閃かれたと唸りました。ガードルが真っすぐとれず、頂点も鋭角ではないアンカットダイヤモンドゆえに (そこが自然のままの良さでもありますが)、実作品にする場合は、意図したようなシャープさが出るのかという点と、アンカットダイヤモンドの下半分が隠れてしまう点は気になりましたが、それを超えたコンセプトの面白さと造形の迫力があります。
本間 恵子 氏
「ピラミッド」は、ピラミッドを二つ合わせた形によく例えられる良質なアンカットダイヤモンドの形状を、ストレートに表現して面白みを誘った。ピラミッド on ピラミッドはいともありそうだがこれまで出てこなかったアイデアであり、シンプルな発想が大きなインパクトにつながることを教えてくれた。
渡辺 郁子 氏
「ピラミッド」の簡潔なデザインはアンカットダイヤモンドの神秘的な魅力を端的に表しています。ゴールドの細工が緻密に製作できれば味わい深いリングになると思いました。


佳作

【山の稜線】Liao,Jia-Sian さん

【山の稜線】
テーマ石 A
Liao,Jia-Sian さん

【可能性の種】緒方 里香 さん

【可能性の種】
テーマ石 A
緒方 里香 さん

【蒼翅と白華】大野 真珠 さん

【蒼翅と白華】
テーマ石 B
大野 真珠 さん

【Alive】浅井 希莉 さん

【Alive】
テーマ石 B
浅井 希莉 さん

【巡り合わせ】齋藤 依央理 さん

【巡り合わせ】
テーマ石 C
齋藤 依央理 さん

【星降る稜線】岡野 紗季 さん

【星降る稜線】
テーマ石 C
岡野 紗季 さん


コンテスト総評

審査員

菅原 晴子 氏
今回のテーマ石は、少し歪んだ八面体・ハート型・三角形と、個性的な形をしており、どの様なデザインが応募されるか楽しみでした。審査にあたり、これらのアンカットダイヤをより生かしたデザインを選ぶことを第一としていますが、毎年レベルアップしており、興味深いデザイン画も多くありました。コンテストとしては、斬新なデザインで、かつて見た事も無いような魅力的なジュエリーを望んでいますが、最終的には制作しますので、石留が最大の問題点です。また、制作者は指示書に従っての制作であり、応募者とコンタクトを取りながらの制作ではない為、指示書は正確で分かりやすく表記されていなければなりません。これらの事から、魅力的で、提案性があり、実現が可能なアイデアを、デザイン画、指示書、コメントで伝える難しいコンテストだと感じます。それらの条件に挑戦し、応募されますよう今後も期待しています。
長嶋 泰子 氏
今年は昨年以上に石の留め方とデザインのバランスが良い作品が多く、アンカットダイヤモンドの魅力を伝えようという意欲が感じられました。年々レベルは上がっているのですが、審査をしていると、面白いデザインは実作に踏み切れず、完成度の高い作品は革新性に欠けるというジレンマに悩むことがあります。チャレンジ精神を忘れずに、自分の表現したいイメージに忠実に向き合ったデザインを期待します。
野澤 治仁 氏
今回も興味深く、楽しく審査させていただきました。デザイン画を審査して感じたことは、制作意図とデザイン意図の一貫性が貫かれている作品、石留のアイデアとその表現方法が十分伝わる作品など多く応募されていて素晴らしく思いました。その中でデザインの革新性の高い 3 作品が選ばれました。惜しくも受賞を逃した作品にも評価できる作品も多かったので今後に期待いたします。
松川 覚 氏
AI、AIと騒がれている昨今、今年のコンテストでは多くエントリーしてくるのか?出て来たらどう評価すれば良いのか?と気構えていたが作者の意志の伝わる力作揃いで選考には苦労したが杞憂に終わった。
アンカットダイヤは形が不定形なだけに石留の仕方には苦労するが、回数を重ねたからかデザインする人にも「この留めは出来る、出来ない」の基準が出来てきた様で余りに突拍子のない作品は減っている様に思う、全体のレベルが上がったと言うべきか。アンカットダイヤという石について皆さん良く観察されていると思います。今回は全く形の違う 3 石のデザインでデザインする人はどの石を選ぶか迷ったと思いますが、長く仕事としてジュエリーに関わっている僕から見れば、日頃見逃してしまいそうな色々なアイデアを見ることが出来てまた新しい意欲をもらえるいい機会になりました。
吉田 由子 氏
年々、テーマ石の留め方に工夫が見られる作品が増えていて、とても良い傾向だと思います。一方、キャプションがなければ意図が伝わらない、またはキャプションが一人歩きするような、難解な作品も散見される印象です。私は、もちろん作品に対しての熱い想いは大いにあっていい (あればあるほどいい) と思いますが、「想いを代弁するためのテーマ石」、という在り方ではない方が好ましいと思います。あくまで、テーマ石を理解するのが第一。そしてその魅力を、どうアイディアと工夫によって、引き立てるかが勝負どころだと思います。アイディアや言葉に対してではなくて、一目見た瞬間「わぁ!」と思ってしまうような作品を、これからも期待したいです。

プレス奨励賞審査員

清水井 朋子 氏
私が審査にあたって最も重きを置いているのは「アンカットダイヤモンドが主役になっているか」です。研磨済みのダイヤモンドや他の宝石ではなく「アンカットダイヤモンドの魅力を引き出すデザインやコンセプトであるか」という点において、今年プレス奨励賞に選ばれた 2 作は命題を満たした魅力ある作品でした。
一方で実際に製作する場合にジュエリーとして成立しにくい点があったり説明不足な応募作については審査員の間で議論になりました。このコンテストはプロの方やジュエリーを学んでいる方だけでなく誰もがデザイン画で応募できるものですので、特にプレス奨励賞では世の中に広くお知らせしたい新しさやユニークさに重きをおいて選びたいと考えていますが、ジュエリーは身につけて完成するものです。来年以降に応募される方には、ジュエリーの基本的な構造や装着性を考慮に入れていただくとアイデアが生きてくると思います。
源川 暢子 氏
まず、今回もたくさんの素敵な作品に出会えたことに感謝します。
今年は、前回に比べて応募数が増え、また海外からもたくさんのご応募があったとお聞きしました。プロのジュエリーデザイナーの方をはじめ、様々な方の新しい発想や自由な感性が見られることも、このコンテストの醍醐味。次回も、「アンカットダイヤモンド」ならではの新鮮なジュエリーのアイディアが生まれてくることを楽しみにしています。
宮坂 敦子 氏
ふと手に取りたくなるような、リアルクローズにもよく似合うデザインの応募作が全体に多い印象を受けました。コンテストも 16 回目を迎え、市場にも消費者にもアンカットダイヤモンドの存在が浸透してきましたように思います。素材に向き合い、カットダイヤモンドにはない特徴を生かそうと、応募者が思考を尽くされた様子が応募作品からは伺えました。その中でもプレス奨励賞の 2 点は、発信力の高いビジュアルとストーリーを持ったジュエリーだと感じます。
アンカットダイヤモンドはその自然な結晶痕から、ダイレクトに「天然」であることを表現する、美しい貴重なダイヤモンドです。その特徴を存分に生かした、さらなる唯一無二のジュエリーの登場を期待しています。
本間 恵子 氏
本コンテストは実作品の提出を要件とせず、デザイン画とコンセプトによって審査され、しかも最優秀賞は現物を製作してもらえる非常に数少ないジュエリーデザインコンテストだ。応募のハードルを低くしているので、意外な逸材が出てくるのではといつも大変興味深く審査している。我々が担当するプレス奨励賞審査員たちは、デザインのプロっぽさやジュエリーとしての完成度も重要視しながらも「これは実際に着けてみたい!」「これは人気が出そう!」といったジャーナリストの直感を大事にして選んでいる。すなわち絵が下手でも、ジュエリーの門外漢でも、アイデアが優れていれば我々は選ぶのだ。そんな視点を審査に取り入れているのは SUWA の懐が広いところ。アンカットダイヤモンドをもっと楽しく着けさせてくれるデザインの応募を、これからも待ち続けている。
渡辺 郁子 氏
今回も捨てがたい候補が多数あったため、一次審査は非常に悩みました。ジュエリーの選択は主観的になりやすいのですが、コンテストですので客観的な視点が重要ですが、二次審査の蓋を開けてみると、プレス審査員 5 名が選んだ作品と予想以上に一致していることがわかり、驚きともに、やはり良い作品は自然と人の視線を集め、心を捉えるのだということを再認識しました。良い作品という表現は漠然としていますが、人の心に刺激や感動を与えてくれる何かが備わっているものだと思います。