諏訪恭一、ジュエリーを語る

10. 枝葉末節。

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ダイヤモンドは、一定レベル以上の品質ならば大きい方がよく輝き、また、ラウンドの輝きの強さは他のシェイプにぬきんでています。しかし、輪郭の美しいペアーシェイプやマーキスのエレガントさには、ラウンドはかないません。大粒は大粒ならではの存在感をたいせつにし、小粒はその組み合わせの調和を生かした、仕立てのよいジュエリーこそが身に着けて楽しいものです。

「ラウンドのダイヤモンドを裏から見るとハートが出る」、「ダイヤモンドに何とかマークが印字されている」、「DカラーのVVS」などの特徴は、サイズやシェイプ固有の美しさの重要性に比べると、取るに足りない枝葉末節なことです。売りつけることしか考えないマーケティングと称する人たちの、このような屁理屈に惑わされないことが必要です。私は、このような人たちの無知と無責任さに驚きを禁じえません。

使用済み核燃料の行き場がなくて原子炉内にどんどん溜まっていく事実は、原子力発電自体の欠陥です。今回の福島の事故の直接・間接の被害は、計り知れないコストです。事故を正面から検証せず、枝葉末節の屁理屈で安全が確保されたかのような結論を出したい人たちが、事ここに至っても存在するのは驚きです。「人間がやることには間違いがある、機械はいつか壊れる」という視点で原子力発電に反対してきた原子力のプロである小出裕章さんのように、本質をとらえることが、いま求められているのです。

原子力発電の問題に比べると、ダイヤモンドの見方は些細なことかもしれませんが、ジュエリーを長く使って楽しむためには、枝葉末節に惑わされることなく、自分の目で見て判断して美しいものを選ぶことができる、当たり前の環境をたいせつにしたいものです。

2011/6/22