第12回 アンカットダイヤモンドジュエリーコンテスト
新型コロナウイルスにより社会生活に多大な影響がありましたが、今年度は176作品のご応募をいただきました。また審査員の皆様、各関係機関の方々のご理解とご協力により、無事にコンテストを開催できましたことを厚く御礼申し上げます。
今年は3石それぞれの形が異なる、魅力的なアンカットダイヤモンドがテーマ石でした。学生の方からジュエリーが好きな方、プロのデザイナー、クラフトマンの方など、幅広い層の方々が応募してくださり、とても楽しく見ごたえのある作品が集まったと感じました。
そして、その中から最優秀賞1作品、優秀賞2作品、プレス奨励賞2作品、佳作9作品を選出しました。時節柄、審査はオンライン形式で進め、最終審査のみ審査員が作品を手に取って行いました。審査員の皆様には「テーマ石の独自性(魅力)をより一層引き立てているか」、「応募者が考えたデザインの意図が作品に反映され、活かされているか」、「着用性を考えてデザインされているか」「雑誌やデジタルメディアで取り上げてみたいか」などの視点で厳正に審査をしていただきました。
今後もSUWAはアンカットダイヤモンドジュエリーコンテストを通して、大自然が生み出した美しいダイヤモンドの魅力を皆様にお伝えできるよう、さらなる発展を目指してまいります。
令和3年9月吉日
諏訪貿易株式会社
取締役社長 横川 道男
応募者のコメント (デザインの意図)
テーマ石を地球に、2つのボールパーツを巡る太陽と月に見立てています。地中深くで長い年月を経て美しく形成されるダイヤモンドに、暗く翳した歳月はいつか過去に変わり、夜明けは必ずやってくるという祈りを込めたデザインです。リング2本と石が回転カンで繋がり、ボールパーツと石がそれぞれ異なる軸で回転することで、三次元で動く天体を表現しています。また、石を回転させて360度余すことなく堪能できるようにする意図もあります。コロナ禍で先の見えないこの世界で、心の道標やお守りになったらいいなと思いデザインしました。
審査員からのコメント
菅原 晴子 氏
宇宙というテーマが良く伝わるデザインです。アンカットダイヤの正8面体が美しく表現され、またゴールドボールの荒らしも効果的です。制作上の不安がありましたが、デザイン画どおり回転するジュエリーに出来上がり、クラフトマンに敬意を表する意味も込めて最優秀賞に選びました。ペンダントとして着けやすいデザインですが、ピアスですと宙に浮く様になるのでテーマに添い、全方向から見えることや、回転の魅力も生き、より魅力的になるのではないかと思いました。
諏訪 恭一 氏
正八面体ダイヤモンドの魅力を余すことなく引き出した作品。これからのアンカット ダイヤモンド ジュエリーをリードしていくだろう。
長嶋 泰子 氏
コンテストでなければ実作しなかったであろう作品です。球と円のみのシンプルな構成でわかりやすい表現でありながら2点留め、しかも動く仕様という作者が実現したいことを堂々と盛り込んだもので、実作して形になるのかどうか?という議論の末、できなかったらそれはそれで仕方がないと、審査側も立場を捨てて、フラットな目線で実作した結果、見事に、作者の思いを、形にできました。本当にペンダントというアイテムで良かったのか?地金が少し全体に対して太いのではないか?などさらにデザインを詰めることができるかと思いますが、不可能を形にするということを作品を通して伝えてくれた最優秀賞として申し分のない作品です。
野澤 治仁 氏
このデザインの魅力はダイヤモンドの全体を見せる最小限の石留と回転することでダイヤの見える方向が変わることです。また金のボールもこのデザインの魅力のポイントになっていると思います。このペンダントを着用するとダイヤが胸元に光り大きな宇宙を思わせる印象的な作品です。
松川 覚 氏
今回のコンテストで大いに悩んだのがこの作品です。コンセプトがハッキリしているので、デザインが良いと言えば良いがその逆も言える。使用、着用に関しても不安が残る。しかし製品を見てみたいと興味をそそる。作品としては 【ザ・アンカットダイヤモンド】 と言える仕上がりとなった。
職人の方へインタビュー!
最優秀賞「to A New Day」
制作者 川島 昇 氏 (以下、川島)
コンテスト担当者 (以下、担当)
担当
「to A New Day」のデザイン画を最初見たときに感じた印象を教えてください。
※ 今回、指示書には石に突き刺しパーツを使用するよう記載がありましたが、石に穴はあけずに制作していただきたいと依頼しました。
川島
デザイン画をパッと見たときは、まさかこんなに小さいアイテムだとは思ってなかった。制作指示書を見て、実寸を知って、あぁこれは無理かも!と思った。デザインに関しては地球儀とか宇宙ゴマを連想させるので、馴染みある雰囲気だと感じた。
担当
実は審査の段階で、このアイテムは作れない可能性があると審査員の皆さんと話をしていましたが、見事に形にしてくださったので感動しました。制作時に気を付けた点、特に難しかったポイントはありますか?
川島
まず制作指示書を見るとリングパーツの線径が0.5~0.6mmと記載されていた。この細さでは0.2~0.3mmの穴を開けてパーツを通すこともできないし、強度面も含めて作れないと思ったので、0.9mmの丸線にした。あとハードプラチナに更に熱硬化処理といって貴金属の強度と硬度を高める処理を施して耐久性を上げた。時計を作るような精密機械があれば細い線径でもできたかもしれないが、完全に手作りだと0.9mmが限界だった。一番大変だったのは石留め。2点留めで仕かけのあるデザインなので、留めがゆるすぎると落ちるし、キツイと回転しなくなるしで、かなり絶妙な加減で留める必要があった。あと回転軸が少しでもずれると、回転させたときに他のパーツにぶつかるので、リングパーツの穴あけをかなり正確な位置でしないといけなかったのが大変だった。
担当
指示書よりやや線径を太くしたとはいえ、丸線なので全く太さは感じないですね。石留めはベテランの職人さんだからこそできた神業のように感じました。ありがとうございました。最後に、デザインされた山岡さんにメッセージをお願いします!
川島
自由な発想でデザインできてて良かった!描いたデザイン画が実物になって良かったね!
担当
ありがとうございます!以上、職人の川島さんでした。
応募者のコメント (デザインの意図)
私の人生に欠かせない音楽と休息をテーマに。ROCKとは音楽のジャンルでもあり、石や岩という意味でもある。テーマ石Bのダイヤの形状から岩石をイメージし、ダイヤも地球上の岩石であり、硬度10のダイヤは最高に“ROCK”な存在であると感じた。力強く進みながら時には休息を、楽しく自分らしく人生を歩んで行きたい思いをデザインに込めた。
審査員からのコメント
菅原 晴子 氏
コンセプトがよく考えられており、休符のなだらかなカーブとロック(アンカットダイヤ)のごつごつした形の対比が魅力的で現代的なデザインです。気になる点として、休符をテーマとするのでしたら、休符の形の特徴を把握してデザインすると良いと思いました。また、全体のスケールがもう少し小さいと軽やかになったでしょう。
諏訪 恭一 氏
多少透明度に欠けた(まろやかな艶感)不定形ダイヤモンドを、優しく、力強くまとめた作品だと感じた。
長嶋 泰子 氏
デザイン画ではシンプル過ぎて、見逃しそうなデザインでしたが、よくみると気が利いていて面白い作品です。作者自身が石を通して感じたことを素直に形にしていこうとする姿勢や、思い。それをどのようにして表現していくかを考えてコンセプトから丁寧に練っていることに好感を持ちました。実作をみた時には、少し重い印象でしたが、身につけてみると普段使いもできる軽やかさがあり素敵な作品でした。デザイン自体に安心感があるため、ディテールでの遊びをもう少し取り入れたら、もっと面白い作品になったと思います。
例えば、
・プラチナ部分はすべて艶消しになっていて、プラチナらしい素材感が出ていない
→部分的に磨きを入れてはどうか?
・金の地金は全体に艶の曲線
→エッジを作って艶有無を分けたらどうか?
など、もう一工夫あるとさらに良かったと思います。
野澤 治仁 氏
休符形をモチーフに一本の線でデザインされたピアス。一対のピアスにはダイヤとダイヤ形のパーツをプラチナで作ることにより、素材の対比が個性的で存在感を感じました。石留のため、厚みのある地金とプラチナの岩の重さが着用を考えると少し気になります。
松川 覚 氏
デザイン画では余り引き付けるものを感じなかったが、上がってきた作品はバランスも良く存在感もありアンカットダイヤモンドも良く引き立てられている。プラチナ地金で造られた石との対比もとても良かった。
職人の方へインタビュー!
優秀賞「ROCK 時々 休符」
制作者 横山 達三 氏 (以下、横山)
コンテスト担当者 (以下、担当)
担当
「ROCK 時々 休符」を見た時の第一印象を教えてください。
横山
作り手としての第一印象は複雑ではない作り、シンプルな感じなので、どう工夫して見せようかなと。
担当
工夫というのは、どういった点ですか?
横山
休符のカーブラインの強弱、綺麗にラインを出すように気をつけたのと、重さをどうするか。軽くするために裏を抜くと安っぽくなるし、だからといって耳に着けた時に重すぎても着け心地が良くないからね。プラチナで作った石は中空(中が空洞)にしたりして工夫した。
担当
確かにシンプルだからこそ曲線の美しさなど丁寧に出す必要がありそうですね。制作していただき、ありがとうございます!それでは最後に、デザインされた小田原さんにメッセージをお願いします!
横山
これからも発想豊かにイメージを膨らませ、たくさんデザインしてください!
担当
ありがとうございます。以上、職人の横山さんでした!
制作現場
応募者のコメント (デザインの意図)
自然にできたとは信じられない三角の結晶に自然の偉大さを感じ、石は山を、横のギザギザは水を表現しました。人間も自然の一部として互いに共生していけるように願いを込めました。
審査員からのコメント
菅原 晴子 氏
リングのディテールが美しい作品に仕上がっています。また三角形のアンカットダイヤを立てる形にデザインしたことはユニークで面白いと思います。しかし、リング全体の形や覆輪の形にも気を配ることによって、アンカットダイヤがさらに引き立つデザインになっていると良かったです。
諏訪 恭一 氏
デザイン画の段階では良さがわからなかったが、実作してみるとマクルの形(三角形)の意外性が引き立つユニークなものになった。マクルをデザイン、仕立てるのは難しいが、一石を投じた作品だと感じた。
長嶋 泰子 氏
デザイン画以上に実作にした時に楽しさが伝わってくる作品です。作者がとても楽しみながらディテールを考えたのではないかという感じが伝わってくる作品でした。形状自体は非常に単純ですが、アームのデザインに色々と工夫を盛り込んであり、綺麗にまとまったかと思います。シンプルな要素に物語性を感じている様子が楽しさにつながったという印象です。楽しさを感じさせる作品が少なかったので、このような態度でデザインしていくことは、やはりとても大事なことなのかと思います。作品というより商品としても魅力的な一点になりました。
野澤 治仁 氏
ダイヤモンドを山に、サイドには水をイメージしたデザインのリングは石の魅力を十分に引き出しています。完成作品は装着性も良くバランスの良い作品になっていました。
松川 覚 氏
山と水、自然をポップで軽やかなアイコンにでも使えそうな形に落とし込んで楽しい作品となった。アンカットダイヤモンドの、この石ならではの形を山に見立ててリングを完成させている。デザイナーのセンスを感じさせる優しい感じに共感が持てる。
職人の方へインタビュー!
優秀賞「共生」
制作者 松川 覚 氏 (以下、松川)
コンテスト担当者 (以下、担当)
担当
松川さんには審査員としてもコンテストにご参加いただいていますが、作り手の立場として「共生」を制作すると決まった時の第一印象はいかがでしたか?また制作時に気を付けた点はありますか?
松川
デザイン画の審査の時点でこの作品が気に入って、ぜひ自分で形にしてみたいと思った。今までの僕の作ったジュエリーに無い何か可愛らしさがあった。気を付けた点は、「ジュエリーは光ってなんぼ」的な、宝飾品は高見え?の方向に作るのが、自分のような昭和世代の基になっているので、今回のリングは可愛くポップにと考え、シンプルに出来るだけ「昭和の経験」としての手を入れずに作った。そこが難しかったかな。
担当
昭和ではなく、令和の時代にあわせた雰囲気を意識されたのですね!確かにポップな雰囲気が出ていますし、とても可愛らしいです。デザイナーの方が意識されている山や水を感じ取ることもできますし、素敵な仕上がりですね!それでは最後に、デザインされた名取さんにメッセージをお願いいたします。
松川
加工指示書からするとある程度ジュエリーに携わっている人だと思います。リングサイズも小さいなかで、全体のバランスを取るなどなかなか恐れ入ります。今回のコンテスト応募作品の中では僕のイチオシでした。直接お話は出来ませんがこれからもジュエリーを盛り上げる様頑張ってください。
担当
ありがとうございます!以上、職人の松川さんでした。
制作現場
応募者のコメント (デザインの意図)
リングとブレスレットをリンクさせる新しいジュエリー。その中心にアンカットダイヤを置いた。あえて装飾はつけず、原石の“在るがまま”の美しさを際立たせたかった。単体では意表を突く場所で煌めくダイヤが主役。複数の重ねづけでは、様々な形態のリングやブレスレットと馴染み、それでいてダイヤモンドの存在を損なわないだろう。チェーンの太さや素材、形状を変えることにより、他とは違う様々な個性に寄り添うものになる。
審査員からのコメント
清水井 朋子 氏
アンカットダイヤモンドのフォルムの面白さや存在感を生かしつつ、リングブレスレットという新しいジュエリーの楽しみ方を提案している点に魅力を感じました。現実的には手を開いたり握ったりしても美しさを保ち続けられるのか、また、つける人の手のサイズによってのチェーンの長さを調整するなどの検討も必要かと思います。配慮や工夫を重ねてぜひ実際に製作していただき、つけてみたいと思いました。
本間 恵子 氏
果たして実作品になるかどうかが議論されたが、シンプルな造形でアンカットダイヤモンドのありのままの姿を引き立てていること、また手の甲を飾るというこれまでにあまりないジュエリーに挑戦しようとした点が評価できる。本作は、個性あるアンカットダイヤモンドを「パーティで着けたら映える」ジュエリーに上手に落とし込んでいる。もし実作品を作ることができるなら、モード感のあるスタイリッシュなジュエリーとして、モデルを使ったファッション撮影にも向くだろう。
源川 暢子 氏
ジュエリーを着けるシーンを考えた時、意外と疎かになるのが“手の甲”ではないでしょうか。このデザインは、少し丸みを帯びたアンカットダイヤモンドを中心に手の甲を飾るイメージで、石の美しさを打ち出しつつ存在感のあるジュエリーになると感じました。このようなジュエリーを着けて、華やかなパーティーに出かける日が早く来ることを願います。
宮坂 敦子 氏
「手の甲で見せるジュエリー」という珍しい発想。まま見かけるような「リング式ブレスレット」にしないで、チェーンだけで構成したところがシンプルで、ダイヤモンドをより活かして良いと感じました。使用感はさておき、ドリンクを飲むときなど、周囲の視線が集まること必至でしょう。
渡辺 郁子 氏
ジュエリーとは夢を与えてくれるものという原点に立ったような作品だと思いました。この作品を着用したら、手元のしぐさが気になります。どうみても日常的なアイテムではありません。お姫様のような雰囲気があり、それもジュエリーの醍醐味です。大きな不定形のアンカットダイヤモンドを中央に据えたところに迫力を感じます。たとえばウェディングで身に着けて、将来、他のアイテムにリメイクする。いろいろなアイデアが浮かびそうです。このような大胆なデザインは海外でリアルに受けると思います。
応募者のコメント (デザインの意図)
朝日に当たり、キラキラと輝く朝露の光景が浮かび、モチーフとした。自然の生命力を曲線で表し、中心に太いラインを入れることで躍動感が増すようデザインした。全体的に耳の形に添うようにして上の部分でも固定できるよう工夫。ダイヤモンドは美しい露に見立てて、魅力が引き立つよう敢えて右端へレイアウトした。何事にも屈することなく、自分の夢へと挑戦する心の輝きを表現しています。
審査員からのコメント
清水井 朋子 氏
マスク着用が日常的になったことで、一般的な耳たぶにつけるピアスやイヤリングよりも、より顔まわりを華やかにしてくれるアイテムと認識された感のあるイヤカフ。今回は他にもイヤカフの応募作品は何点かありましたが、アンカットダイヤモンドのトリリアントシェイプと植物を思わせる有機的なラインとの組み合わせ、耳全体を立体的に場面として捉えたデザインの完成度の高さを評価しました。
本間 恵子 氏
イヤーカフはその新しさからか、今回の応募作品にいくつも見られた。その中で本作は、アンカットダイヤモンドの魅力を引き出すことに最も心を配っていると感じた。私見だが、アンカットダイヤモンドは具象モチーフのデザインには向かないと思っている。どうしても具象モチーフが先に立ち、アンカットダイヤモンドが添えもののようになってしまうからだ。本作は輝く朝露をモチーフにしたというが、アンカットダイヤモンドが第二義的になることなく、十分な存在感を放っている。
源川 暢子 氏
少し前から注目されているイヤーカフは、アンカットダイヤモンドと相性の良いジュエリーだと思います。中でもこのデザインは、個人的にとても魅力を感じるものでした。耳に沿うような優しく繊細なフォルムに淡いグリーンカラーのアンカットダイヤモンドの組み合わせは、神秘的な石の雰囲気が生かされエレガントな雰囲気だろうな…と想像します。いつか、商品化していただきたい1点です。
宮坂 敦子 氏
美しいグリーンのダイヤモンドがよく映え、ボタニカルなデザインに非常によくマッチした作品。ゴールド使いや3石(ふくりん留め)のダイヤモンドとのバランスも良い。「大人のイヤーカフ」として、世代を超えて着けられる作品だと感じます。
渡辺 郁子 氏
初回のプレス審査から参加させていただいていますが、年々、独創的なデザインやコンセプトが増え、甲乙がつけがたい作品ばかりで、審査をするのを難しく感じています。そんななかで、プレス目線から言いますと、まずイヤーカフはプレス全員に新鮮な印象を与えました。なおかつ、この作品は特殊な三角形のダイヤモンドがエレガントなプラチナとゴールドのラインにバランスよくセッティングされています。イヤーカフは耳の形に合うことが条件ですから、こうした高価なイヤーカフは今後、「カスタムメイド」によって注文が取れるかもしれません。話題性のある作品だと思いました。
【生命の導き】
後藤 舞衣 さん
【ありのままの輝き】
中津 葵乃 さん
【The good friends】
富樫 知優 さん
【Carpe diem】
生江 玲 さん
【尊き鐘】
飯嶋 有理 さん
【流星】
遠藤 十二佳 さん
【over ture】
藤井 麻衣 さん
【アウトドア WITH ダイヤモンド】
田中 一成 さん
【after the rain】
田中 美安 さん
審査員
菅原 晴子 氏
今年度のデザイン画は前年度よりも小ぶりで無難な物が多かったです。このコンペは受賞作を制作し販売する前提であることを意識した為なのか、学生が学校での授業が少ない為なのか、と憶測しました。アイデア賞などを設け、斬新なデザインが多く出品されると良いと思います。また、デザイン画は拡大図なので実作とスケールが異なり、イメージが違ってしまうと思われる作品が多数ありましたので、実寸ではどうなるのかに気をつけると良いでしょう。なお、前回の講評でチェーンにも気をつけて欲しい旨書いたのですが、今回は皆さんがチェーンもデザインの一部と捉えて下さったのが嬉しかったです。
諏訪 恭一 氏
今年のコンテストは、このコロナ禍でも前年より多く応募があり、アンカット ダイヤモンド ジュエリーのこれからの普及を示唆してくれた第12回目だと感じる。
長嶋 泰子 氏
応募作の初見では、全体的に地味にまとまっていて、突出するものがない、安全圏でデザインしているという印象を受けました。挑戦をしていないのは、失敗を恐れる傾向にあるのではないか?失敗を恐れる背景には、他人の評価を気にしすぎるということもあるのではないか?と感じたので、あえて欠点は多くても挑戦しようとしている作品を実作してみてはどうか?というのが、デザイン画の審査で意識したことです。
オンライン審査だったことで、一点一点をじっくり拝見していくと、地味な中にも面白い作品を見つけることができて、この状況でなければ見出せなかったような作品にも、しっかりスポットが当たったのではと感じました。審査員それぞれの視点の違いから、自分では見落としていた思わぬ作品の良さを発見することも多く、審査する側にとっても学びの多いコンテストだったと思います。
一昔前なら、(時間などの制約もあり)パッとみて目立つものが評価され、目立たないというだけで見落とされて評価の対象にすらならないことも多々ありました。これは、コンテストの場だけでなく一般社会でも同じ状況だと思います。見た目だけでなく隠れた中にも価値がある。誰もが持っている価値を丁寧に表現すれば、世に出ることができる。世に出て社会的に影響を与えることで、未来を変えていく。そしてこのような循環の輪の中に、全ての人がいる。自分は世界の構成要素であるという当事者意識を持って日々を過ごしていくという視点。ひらたく言えば多様性。多様な価値を認めていく時代の風を感じるコンテストだったかと思います。
とはいえ、努力している、挑戦している、丁寧に考えている、という行動レベルだけではなかなか評価されないのが社会です。しかし今回のコンテストについては、応募者の「自分自身でしっかり考えて、何かを表現しようとしているという気持ち」をできるだけすくい上げて、最終結果が出せたことはとても良かったと思います。
野澤 治仁 氏
環境問題をテーマにした作品などあり興味深く審査させていただきました。しかしコンテスト作品としては挑戦的なデザインが少なくやや物足りなさも感じました。その中で入賞された3作品はともにデザイン意図が面白く、装着性も十分に確保されすぐれた作品が選ばれました。
松川 覚 氏
コロナ禍での2回目のオンライン審査となり、今回も時間をかけてじっくりと応募作品を見ることが出来た。今回の作品はユニークな切り口でアンカットダイヤをデザインしている物が増えて面白く見させてもらったが、今一歩訴えてくるものが弱く、僕なりに考えたところデザイナーの皆さんもコロナ禍で直接ものや感動に触れることなく、たぶん多くをネット画面を通して見ており、その考察の結果なのでは?と思いました。次回は自身の気持ちの動きもデザインに生かした作品を多く見たい。
プレス奨励賞審査員
清水井 朋子 氏
“風の時代”のはじまりと言われ、価値観やライフスタイルが大きく変化し始めている今、このコンテストを通じて“誰が、どんなシーンで、どのように楽しむか”の提案を含めた新しい感覚のアンカットダイヤモンド・ジュエリーが数多く世に出ていくことを願っています。
本間 恵子 氏
年々応募作品のレベルが上がっていくなかで、デジタルで描画したリアルなデザイン画も増えたが、デザイン画の上手・下手に関わらず、アイデアとして新鮮味があって面白いものに高い点をつけた。二次元でうまく描けているかということよりも、やはり気持ちが惹きつけられるのは、発想のユニークさや着眼点なのだ。今回、デザインの意図をしっかり書き込んでいる人が多くいたのは好ましかった。審査員は絵だけながめて優劣を決めているのではない。アイデアが秀逸で、構想がよく練られているデザインに惹かれるからだ。
源川 暢子 氏
毎回言っているような気がしますが(笑)、年々レベルが高くなるこのコンテスト。今回も力作揃いで、数点に絞るのが本当に悩ましかったです。特に、今回の応募総数はとても多かった。しかもジュエリーを仕事にしたり、学んでいる方だけではなく、高校生から年配の方まで幅広い方々からのご応募があったとお聞きしました。アンカットダイヤモンドへの関心が広がっていることは、審査に携わる立場として、また一ファンとしても大変嬉しかったです。来年も、素敵な作品に出会えることを楽しみにしております!
宮坂 敦子 氏
応募数も例年より多く、「アンカットダイヤモンド」であることの特徴を活かそう(カットダイヤモンドとは異なる良さを引き出そう)と意識した作品がより多いように感じられました。ジュエリーの一つの役割である「カンバセーションジュエリー(会話が弾むジュエリー)」に相応しいと思われる応募作も散見し、来年のコンテストが一層楽しみです。
渡辺 郁子 氏
今年もとても楽しい審査に参加できて嬉しかったです。これまでの応募作品は、「どこかで見たことがあるな」と感じるようなものも多い印象でしたが、今回はそういった作品が少なく、皆さんがクリエイティブにどんどんなっているなと思いました。「雑誌に掲載してみたいと思えるデザインか」という審査基準もあるのですが、今回は創造的な作品が多かったので、ぜひ掲載してみたいと思えるアイテムが多数ありました。次回も楽しみです。