logo
第4回 SUWAラフダイヤモンドジュエリーコンテスト2013

ごあいさつ

第4回SUWAラフダイヤモンドジュエリーコンテストに、国内を中心に203点のご応募を頂きまして、心より御礼を申し上げます。

今年のコンテストも例年と同様に、一時審査で入賞したデザイン3点を実際のジュエリーに仕立てて、出来上がった3作品で、最終審査を行いました。出来上がった作品はどれも良く出来ており、最終選考は意見が割れて難航しましたが、ラフダイヤモンドがシンプルに活かされている点で評価の高かった作品が、最優秀賞として選出されました。

今年も、山脇美術専門学校様のご協力を得て、2013年7月26日(金)〜7月30日(火)の期間、入賞作品と全応募作品を一堂に展示する機会を頂きました。山脇美術学院様のご協力に感謝申し上げます。応募者の皆さんの思いが込められた個性ある力作と実際のジュエリーになった入賞作品を一般およびプレスの方々に広くご紹介させて頂き、盛況のうちに終了したことをご報告いたします。これも、ひとえに応募してくださった皆様のおかげです。厚く御礼を申し上げます。

『玉磨かざれば光なし』と言われるようにダイヤモンドは輝きを引き出す為に面を取って形を整え、ジュエリーとして楽しまれてきました。歴史を振り返ると、類稀な硬さゆえ、ダイヤモンドは長い間研磨せずに自然のままで身に着けられて来ました。古代ローマ(紀元前3世紀)の人々は、正八面体のダイヤモンドの類い稀な硬さに驚き、小さなダイヤモンドに大きなパワーを感じていたようです。ダイヤモンドは身を守ってくれると強く信じて、その想いをジュエリーにして身に着けました。ダイヤモンドの研磨が可能になった14世紀末以降も、人々は正八面体のダイヤモンドのパワーを信じて、自然のままのダイヤモンドを好んできました。ちなみに15世紀に西洋に伝わったトランプのダイヤモンドは正八面体のシルエットを表したものです。

ダイヤモンドは「硬く」「小さく」「時空を超えた」存在です。研磨したダイヤモンドの強い輝きに比べると控えめですが、強い力を放つ『自然のままのダイヤモンド』が永く身に着けられるスタイルに仕立てられることを期待して、このコンテストを開催しております。また来年もこのダイヤモンドジュエリーコンテストを開催する予定です。来春、サイト上にてご案内いたしますので、皆様のご参加お待ち申し上げます。

平成25年7月吉日

諏訪貿易株式会社
取締役社長 横川道男

テーマと使用素材

テーマ

ダイヤモンドの原石を使った『ペンダント』(メンズ、レディス、ユニセックス)のデザイン。ラフダイヤモンドの魅力が引き出され、いつも身に着けて楽しんだ後に次の世代へ受け継がれてゆくもの。

使用素材

ラフダイヤモンドは以下の3種。原石は動画で全体像をご覧頂けます。

A. ソーヤブル注1 1石
1.00ct 南アフリカ産

B. メイカブル注2 1石
0.37ct アンゴラ産

C. ソーヤブル 3石 ホワイト・グリーン・イエロー注3
左から 0.42ct ロシア産 / 0.49ct DRコンゴ産 / 0.61ct DRコンゴ産

ソーヤブル

メイカブル

メイカブル

Size (対角線)
5.8mmの正八面体

Size (縦 × 幅 × 厚み)
4.6mm × 3.5mm × 2.5mm

Size (対角線)
ホワイト 4.6-4.9mm・グリーン 4.6-4.9mm・イエロー 4.9-5.0mm

注1 ソーヤブル (Sawable) : 2つのピラミッドを合わせたような正八面体に代表されるダイヤモンドの原石です。この原石は比較的素直に結晶し、透明度が高いのが特徴です。宝石用原石の10~20%しかなく、効率よく研磨できる大変貴重なものです。

注2 メイカブル (Makeable) : 形はさまざまで、透明度の高いものから中級のものまであり、それぞれの形に合わせて研磨されます。原石の形が悪くても良質に仕上がるものがある一方、美しさに欠けるものが生まれることもあります。今回のコンテストで使用するものは、透明度が高く、オーバルやバゲットなど長手のファンシーシェイプに研磨される美しい原石です。

注3 ホワイト・グリーン・イエロー : ラフダイヤモンドの中には、無色の他にいろんな色が付いているものがあります。イエロー/ブラウン系が大半を占めますが、グリーンのものや他の色のものも存在します。グリーンは研磨をすると大半が消えてしまいます。

作品展の様子

作品展2013 作品展2013
作品展2013 作品展2013

シンポジウムの様子

作品展の初日にシンポジウムと表彰式を行いました。入賞者3名、審査員3名、作品を製作した職人1名をパネリストに迎え、それぞれの立場からお話を頂きました。入賞3名からは、デザインするにあたり、一番こだわった点を伺ったところ、コンセプトを大事にしていて、まずそこを固めるというお話がありました。審査員からは、審査で一番重要視した点、職人からは、デザイン画から作品にしていく仮定をスライドで解説頂き、デザイン画から実際のジュエリーをする際の工夫や苦労を説明して頂きました。それぞれ立場の異なる3者からの話はとても興味深く、参加者のみなさんにとって、とても有意義な時間だったようです。

シンポジウム2013
シンポジウム2013 シンポジウム2013

コンテスト総評

今年も昨年と同様、応募期間中に原石下見会を開催しました。下見会には遠方からご参加の方もいらして、とてもありがたく思います。毎年、テーマのラフダイヤモンドの動画をサイトに載せておりますが、1つ1つ形の異なるラフダイヤモンドを使うジュエリーは形の把握が難しく、応募者の皆さんにとっても表現の難しさがあったかと思います。

どの応募作品も皆さんの努力が伝わる力作ばかりで、審査員5名、大いに悩み、議論を交わし、選考を行いました。入選12名中、学生が3名、デザイナーが6名、主婦が1名、会社員が1名、大学非常勤講師が1名でした。皆さんの今後の活躍を応援したいと思います。

また、今年も昨年同様、佳作の中から意欲的なデザインを表彰する『チャレンジデザイン賞』を設けて、2名が選出されましたことを報告いたします。

各審査員からのコメント

露木 宏 氏 日本宝飾クラフト学院 理事長

製作した3作品は、どれもとても良く仕上がったと思う。製作した職人の腕も評価したい。今年の入賞作品は、テーマに沿ったものが選出されたと思うが、こじんまりしたものが多かった。テーマ石が小さいのも一因かと思うが、チェーンと一体化したものや、もっと冒険したものも見たかった。来年以降に期待したい。

石倉 禎江 氏 日本ジュエリーデザイナー協会会員

今回、初めてこのコンテストの審査員を務めたが、ラフダイヤモンドが使用素材ということで、とても新鮮で楽しく審査させて頂いた。審査基準と併せて、自分自身で身に着けたいものより、娘や孫に身に着けさせたいかの視点で選考させて頂いた。

大前 英史 氏 エディトリアルデザイナー 大前デザイン室代表

大自然の力強さを持った原石を閉じ込める・自分のものにするのがラフダイヤモンドジュエリーの魅力だと思う。その点で最優秀賞の作品が分かりやすかった。テーマが違っていれば、違う作品が選出されたと思う。ラフダイヤモンドでなければ、成り立たないデザインをもっと見てみたい。

長嶋 泰子 氏 デザイナー・2012年度当コンテスト最優秀賞受賞

普段、商品化するデザインの仕事をしているので、ついつい商品化するならという視点で見てしまいがちだったが、コンテストとしてデザインの面白さやオリジナリティを評価する視点で選考した。

吉岡 千加子 氏 マーケティングプランナー YSプランニング代表

審査基準の他に、自分で身に着けたいかと、ラフダイヤモンドでなければいけないもの、の2点を基準に選考しましたが、全体的に大胆なデザインが少ないように感じました。

審査の様子

SUWAラフダイヤモンドジュエリーコンテストには、日本、台湾から203点のご応募を頂きました。 一次審査は、2013年6月6日(木)、諏訪貿易(株) 2Fサロンにおいて、厳正に行なわれました。

最初に、各審査員が全作品のデザインと意図を確認しながら、それぞれの感性で、203点より31点を選考しました。

その後、その31点について、ラフダイヤモンドの魅力が活かされているか、日常身に着けて長く楽しめるか、オリジナリティ、製作指示書の内容の4項目で5段階採点され、上位12点が入賞作品として選考されました。

その後、更に、実際に製作した場合の仕上がり、身に着けやすさ、などを含め、協議によって、12点から3点が選考されました。この時点で残りの9点の佳作が決定し、2013年6月14日(金)にサイト上にて一次審査結果発表後、入賞作品3点の製作に入りました。今年は、3作品とも、横山達三氏に製作を依頼しました。

7月中旬に、入賞3作品が完成し、2012年7月19日(金)に最終審査を行い、最優秀賞を決定しました。短い納期で作品を製作して頂いた、横山達三氏に感謝申し上げます。

審査の様子2013 審査の様子2013 審査の様子2013

最終審査結果発表

最優秀賞

高橋 卓久真さん 京都府『Diamond Time』

すでにあるモチーフだが、シンプルにラフダイヤモンドを少し飛び出させて閉じ込めた点を高評価した。精度をきっちり出して作る為、時計の旋盤加工も得意なジュエリー職人に一部の作業を依頼。ラフダイヤモンドを天地でしっかり押さえるため、上下別パーツにしてネジで固定。普段身に着けやすい ペンダントに仕上がった。チェーンがしっかりしているので、男性にも良さそう。

優秀賞 : 2名 (順不同)

岩澤 愛子さん 静岡県『幻の果実』

モチーフの中にラフダイヤモンドと研磨済のダイヤモンドが対比されている点、地金のラインの面白さが良かった。地金のラインが上手く出るか気になっていたが、横山氏がとても良い感じに仕上げてくれた。チェーンの指示が特になかったので、女性審査員のアイデアでシルクコードを合わせてみた。

今井 功さん 大阪府『bountiful Nature (恵み深き自然) 』

白、黄、緑のラフダイヤモンド3石をそれぞれ独立させながら、上手く取り入れた点を評価した。首のラインにそった素敵なペンダントに仕上がった。可動部分がもっと動くと、身に着けて歩いたり、動いたりした時に、自然な動きが出ると思われる。チェーン接続部分の位置を付け替えられるようにして、気分に寄って角度を替えられるようにしても面白い。

高橋 卓久真さん 京都府『Diamond Time』 岩澤 愛子さん 静岡県『幻の果実』 今井 功さ 大阪府『bountiful Nature (恵み深き自然) 』

チャレンジデザイン賞 : 2名 (順不同)

『Pure Diamont』 堀ノ江 匠さん・都築 太一さん 京都府 『マカロン』 眞野 智美さん 東京都

『Pure Diamont』
堀ノ江 匠さん・都築 太一さん 京都府

『マカロン』
眞野 智美さん 東京都

佳作 : 7名 (順不同)

『春蕊蔵芽』 林 子瑜さん 台湾 『淡路結び』 立野 香織さん 鹿児島県 『Diamond Pendant~きらめきの瞬間~』 TSUKASAさん 東京都

『春蕊蔵芽』
林 子瑜さん 台湾

『淡路結び』
立野 香織さん 鹿児島県

『Diamond Pendant~きらめきの瞬間~』
TSUKASAさん 東京都

『Sucesion (継承の意) 』 黒磯 アヤコさん 京都府 『YUI -唯-』 戒能 幸枝さん 奈良県 『継がれる』 斉藤 文太郎さん 東京都

『Sucesion (継承の意) 』
黒磯 アヤコさん 京都府

『YUI -唯-』
戒能 幸枝さん 奈良県

『継がれる』
斉藤 文太郎さん 東京都

『幸福』 高橋 千明さん 東京都

『幸福』
高橋 千明さん 東京都

過去のコンテストについて

2020年度 第11回2019年度 第10回2018年度 第9回2017年度 第8回2016年度 第7回2015年度 第6回

2014年度 第5回2013年度 第4回2012年度 第3回2011年度 第2回2010年度 第1回