第5回SUWAラフダイヤモンドジュエリーコンテストに、国内を中心に144点のご応募を頂きまして、心より御礼を申し上げます。
今年の募集アイテムは『イヤリング(ピアス含)』とさせて頂きました。例年と同様、一次審査で選出したデザイン3点を実際のジュエリーに仕立てて、出来上がった3作品で、最終審査を行いました。出来上がった作品はどれも良く出来ており、最終選考は意見が割れて難航しましたが、着眼点とインパクトで評価の高かった作品が、最優秀賞として選出されました。
今年も、山脇美術専門学校様のご協力を得て、2014年7月25日(金)~7月29日(火)の4日間、全応募作品を一堂に展示する機会を頂きました。全応募作品を一堂に展示する機会を頂き、応募者の皆さんの思いが込められた個性ある力作と実際のジュエリーになった入賞作品を一般およびプレスの方々に広くご紹介させて頂き、盛況のうちに終了したことをご報告いたします。初日にはシンポジウムと表彰式を行わせて頂きました。山脇美術専門学校様の多大なるご協力に心より感謝申し上げます。
ダイヤモンドは15億~20億年前、地下150-200kmで生成したと言われています。そして、地球の地殻変動と火山活動によって地表近くに押し上げられたものを人間が採取してきました。歴史を振り返ると、実は研磨せずに使われていた期間のほうが圧倒的に長いのです。
古代ローマ(紀元前3世紀)の人々は、正八面体のダイヤモンドの類稀な硬さに驚き、小さなダイヤモンドに大きなパワーを感じていたようです。ダイヤモンドは身を守ってくれると強く信じて、その想いをジュエリーにして身に着けました。ダイヤモンドの研磨が可能になった14世紀末以降も、人々は正八面体のダイヤモンドのパワーを信じて、自然のままのダイヤモンドを好んできました。
研磨したダイヤモンドの強い輝きに比べると控えめですが、1つ1つが異なる個性と力強さを放つ『自然のままのダイヤモンド』が永く身に着けられるスタイルに仕立てられることを期待して、このコンテストを開催しております。
ダイヤモンドは「硬く」「小さく」「時空を超えた」存在です。このダイヤモンドジュエリーコンテストを通して、ダイヤモンドの永遠の価値と魅力を感じて頂ければ幸いです。
平成26年7月吉日
諏訪貿易株式会社
取締役社長 横川道男
今年の募集アイテムは『イヤリング(ピアス含)』でした。昨年と同様、応募期間中に原石下見会を開催しました。下見会には遠方からご参加の方もいらっしゃいました。とてもありがたく思います。毎年、テーマのラフダイヤモンドの動画をサイトに載せておりますが、1つ1つ形の異なるラフダイヤモンドを使うジュエリーは形の把握が難しく、応募者の皆さんにとっても表現の難しさがあったかと思います。
どの応募作品も皆さんの努力が伝わる力作ばかりで、審査員5名、大いに悩み、議論を交わし、選考を行いました。入選12名中、学生が5名、デザイナーが2名、会社員が2名でした。皆さんの今後の活躍を応援したいと思います。
また、今年も昨年同様、佳作の中から意欲的なデザインを表彰する『チャレンジデザイン賞』を設けて、2名が選出されましたことを報告いたします。
露木 宏 氏 日本宝飾クラフト学院 理事長
リング・ペンダント・ブローチは明治時代から日本にあったが、イヤリングを身に着けるようになったのは昭和30-40年代になってからで、当時の皇后はイヤリングを身につけていなかった。日本では身に着けるようになった最後の装身具と言える。韓国では李王朝時代に耳飾り禁止令が出たこともある。歴史が浅い分、これから最も可能性のある装身具と言えるので、いろいろな留め方や、もっと自由な身に着け方を提案して欲しかった。
大前 英史 氏 エディトリアルデザイナー 大前デザイン室代表
上手く形に仕上げて頂いた職人さんを讃えたい。ラフダイヤモンドでなくてはいけないデザインという視点でみると、個人的には今一歩もの足りなく感じてしまった。何でもそうだが、余計な装飾を排したものが後々残されていく。文化とは心の足しになるものだと思うので、日本独自のものが見たい。ヨーロッパ的なものから離れても良い。今後は、西洋からの決別という切り口もありなのではないか。投げかける主催者の力量も問われると思う。ぜひ日本の若者にデザインの未来を作ってもらいたい。
長嶋 泰子 氏 デザイナー・2012年度当コンテスト最優秀賞受賞
審査はとても楽しかった。リングでは表現できないデザインがあり、とても面白いと感じた。空間を大胆に取り入れたり、非対称性にしたり、リングやペンダントでは表現できないデザインがあるのがイヤリングの面白い所。反省は、審査員も含め、頭でデザインを考えすぎている所があると思う。チャレンジデザイン賞はこれからの可能性を感じさせるデザインを選びました。デザインの仕事をしているので、クライアントにコンセプトに付加価値をつけてプレゼンしたりするが、コンセプトがいくら良くても最終形が出来た時や実際身に着けた時をイメージしながら良くないとダメだと思う。
吉岡 千加子 氏 マーケティングプランナー YSプランニング代表
審査を通して、イヤリングはとても難しいと感じたが、左右同じである必要はないし、空間を入れるなど、遊びを入れられる要素が一番多い装身具かも。個人的には、単に耳につけるデザインを超えた、広い視野に立った新しい提案を見たかった。このコンテストの良さは、デザインから最終的に実物にする所だと思うので、製作段階でそこにギャップが発生するので、そこを明確に参加者、今後の応募者に報告していくことが今後より良いコンテストにしていくことにつながると思う。
横川 道男 氏 諏訪貿易株式会社 取締役社長
このコンテストの肝はデザイン画から実際の形になる所だと思う。実際の業務では、デザイナーと職人が蜜に打ち合わせをして形にしていくので、画から形を起こす時点で発生するギャップを詰めることが出来るが、当コンテストでは、打ち合わせを持つのは、なかなか難しいと感じた。今回も1人にコンタクトし作りの確認をしているが、一部の作りを変更させて頂いたが、デザイナーにとっては別の意図があったのかもしれない。今後は、入賞者と打ち合わせを設定するのも良いと感じた。
一次審査は、2014年5月23日(金)、諏訪貿易(株) 2Fサロンにおいて、個人情報を全て伏せて厳正に行なわれました。最初に、各審査員が全作品のデザインと意図を確認しながら、それぞれの感性で、144点より29点を選出しました。
なお、製作指示書の内容評価については、一部の審査員から製作指示に関する評価が難しいとの意見がありましたので、事前に弊社内で拝見させて頂きました。審査になるべく影響しないよう、製作に関して非現実的なもののみ、審査員に伝えさせて頂きました。
その後、その29点について、ラフダイヤモンドの魅力が活かされているか(10段階評価)、日常身に着けて長く楽しめるか(5段階評価)、オリジナリティ(5段階評価)、の3項目で採点され、上位12点が入賞作品として選考されました。
その後、更に、実際に製作した場合の仕上がり具合、着用性などを含め、協議によって、12点から3点が選考されました。この時点で残りの9点の佳作が決定し、2014年6月30日(金)にサイト上にて一次審査結果発表後、入賞作品3点の製作に入りました。今年は、1作品を昨年同様に横山達三氏に、2作品を松川覚氏に製作を依頼しました。
7月中旬に、入賞3作品が完成し、2014年7月18日(金)に最終審査を行い、最優秀賞を決定しました。最後は審査委員の意見が割れましたが、委員長の露木さんにまとめて頂きました。短い納期で作品を製作して頂いた、横山達三氏、松川覚氏に感謝申し上げます。
最優秀賞『 源 』岩崎 麻祐さん 埼玉県
ダイヤモンドの炭素元素配列とグラファイトの元素配列、似たようで異なる幾何学模様をモチーフに、ラフダイヤモンドがセットされた異色のピアス。左右非対称のインパクトと着眼点を高評価した。特にグラファイトの配列モチーフを2つ合わせてエレガントな雰囲気が出ている。ダイヤモンド元素のほうは、強度を持たせるため、画よりも厚みを持たせて製作した。
優秀賞『 Tokyo 』源 梨江さん 東京都
プラチナ950で作られた都会の高層ビルをモチーフに、艶のあるメイカブル・ラフダイヤモンドがセットされたモダンなピアスに仕上がった。上下に反転させても使えるよう格納式のピアス針が天地2箇所に付けられている。画では地金がかなり繊細で強度が心配だったが、全体に程よく厚みを持たせ、松川氏が上手く仕上げてくれた。更に口が開いている部分をモチーフの一部に見えるよう処理を加え地金で繋いで強度の低下を防いでいる。
優秀賞『氷と火の歌』肖 汪玥さん 大阪府
ラフダイヤモンドを氷に見立て、火との対比にしたコンセプトを評価した。ピンクゴールドとイエローゴールドで炎を表すのが、色の差が出にくく、難しかった。一部を艶消しにして試すなどして形にするのに、何度も作り直し苦労した作品。重く仕上がるか心配したが、職人、横山氏が上手く軽めに仕上げてくれた。
『 カメレオン 』
今井 功さん 大阪府
『 MONN LIGHT 』
尾出 亜紀子さん 埼玉県
『 枯山水 』
今井 功さん 大阪府
『 包む 』
柳生 乃亜さん 東京都
『 Eureka 』
北澤 幸脩さん 東京都
『 流れ星 』
八木 耀子さん 静岡県
『 GIFT 』
尾出 亜紀子さん 埼玉県
『 roots 』
河野 未帆さん 愛知県/p>
ラフダイヤモンドの美しさが引き出され、いつも身に着けられて、世代を超えて受け継がれてゆく『イヤリング(ピアス含)』のデザイン(メンズ、レディス、ユニセックス)。
ラフダイヤモンドは以下の3種のいずれかを使用。原石は動画で全体像をご覧頂けます。
注1 ソーヤブル(Sawable) : 2つのピラミッドを合わせたような正八面体に代表されるダイヤモンドの原石です。この原石は比較的素直に結晶し、透明度が高いのが特徴です。宝石用原石の10~20%しかなく、効率よく研磨できる大変貴重なものです。
注2 メイカブル(Makeable) : 形はさまざまで、透明度の高いものから中級のものまであり、それぞれの形に合わせて研磨されます。原石の形が悪くても良質に仕上がるものがある一方、美しさに欠けるものが生まれることもあります。今回のコンテストで使用するものは、透明度が高く、オーバルやバゲットなど長手のファンシーシェイプに研磨される美しい原石です。
以下、5名の審査員が厳正に審査を行います。
露木 宏 様、日本クラフト学院 理事長
大前 英史 様、大前デザイン室代表
長嶋 泰子 様、2012年度当コンテスト最優秀賞受賞
吉岡 千加子 様、YSプランニング代表
横川 道男、諏訪貿易株式会社 取締役社長
・ラフダイヤモンドの美しさが活かされているか
(Creative use of rough diamonds)
・独創性(Originality)
・着用性(Wearability)
・次の世代に受け継がれてゆく普遍性
(Universal design that will go beyond generations)
・製作指示の内容(Direction for manufacturing)
応募期間終了後、3段階の審査を通して選考を行います。最初に5名の審査員が全応募作品のデザインと製作指示書に目を通して、上記審査項目を基準に、それぞれが良いと思うものを合計30作品を選出します。次に、上記審査項目を基に、各審査員が選出した作品全てに点数を付けて行きます。その後、各審査員の点数を集計し、上位10作品を選出します。この時点で佳作以上が確定します。同点の場合もあるので、10点以上選出される場合もあります。(チャレンジデザイン賞は、この上位10点の中から協議により選出されます。)最後に、審査員5名で協議を行い、製作作品3点(入賞)を決定いたします。
2014年5月30日(金) 12:00 / 弊社サイトwww.suwagem.com/jpにて
優秀賞3点(作品製作)と佳作7点を発表。
一次審査の後、約1ヶ月の3作品製作期間を経て、審査員5名が投票・協議を行い、最優秀賞を決定いたします。他の2作品は優秀賞となります。
2014年7月25日(金) 11:00 弊社サイトにて発表いたします。チャレンジデザイン賞は最終審査結果と同時に発表いたします。
2014年7月25日(金) 17:15 東京 市ヶ谷 山脇ギャラリーにて
山脇ギャラリー
TEL : 03-3264-4027
URL : www.yamawaki-gallery.com
市ヶ谷駅より徒歩1分
最優秀賞 : 1名 賞状、作品の写真、賞金 10万円
優秀賞 : 2名 賞状、作品の写真、賞金 3万円
佳作 : 7名 賞状、諏訪恭一著「ダイヤモンド」注1か「宝石3」注2
チャレンジデザイン賞 : 1名 賞状、賞金 1万円
注1「ダイヤモンド」はDe Beers Institute of Diamonds社長Andrew Coxonとの共著。日本語版、英語版、中国語版からお選び頂けます。
注2「宝石3」は日本語版のみとなります。