おかげさまで、今年も第7回目となるSUWAラフダイヤモンドジュエリーコンテストを開催する運びとなり、国内を中心に135点ものご応募を頂きました。告知をして頂いた関係機関の皆様、および、ご応募頂いた皆様に厚く御礼を申し上げます。
今年の募集アイテムは『ペアリング』とさせて頂きました。例年と同様、一次審査で選出したデザイン3点を実際のジュエリーに仕立てて、出来上がった3作品で最終審査を行いました。出来上がった作品はどれも良く出来ており、最終選考は意見が割れました。今年は、設定がユニークで、ラフダイヤモンドでなければ成り立たないデザインのペアリングを最優秀賞として選出いたしました。
今年も山脇美術専門学校様のご協力を得て2016年7月21日(木)~7月25日(月)の4日間(日曜は休館)、全応募作品を一堂に展示する機会を頂き、応募者の皆さんの思いが込められた個性ある力作と実際のジュエリーになった入賞作品を一般およびプレスの方々に広くご紹介させて頂き、盛況のうちに終了したことをご報告いたします。初日にはシンポジウムと表彰式を行わせて頂きました。山脇美術専門学校様の多大なるご協力に心より感謝申し上げます。
ダイヤモンドは15億~20億年前、地下150-200kmで生成したと言われています。そして、地球の地殻変動と火山活動によって地表近くに押し上げられたものを人間が採取してきました。歴史を振り返ると、研磨せずに使われていた期間のほうが実は圧倒的に長かったのです。古代ローマ(紀元前3世紀)の人々は、正八面体のダイヤモンドの類稀な硬さに驚き、小さなダイヤモンドに大きなパワーを感じていたようです。ダイヤモンドは身を守ってくれると強く信じて、その想いをジュエリーにして身に着けました。ダイヤモンドの研磨が可能になった14世紀末以降も、人々は正八面体のダイヤモンドのパワーを信じて、自然のままのダイヤモンドを好んできました。
研磨したダイヤモンドの強い輝きに比べると控えめではありますが、1つ1つが異なる個性と力強さを放つ『自然のままのダイヤモンド』が永く身に着けられるスタイルに仕立てられることを期待して、このコンテストを開催しております。
ダイヤモンドは「硬く」「小さく」「時空を超えた」存在です。このラフダイヤモンドジュエリーコンテストを通して、ダイヤモンドの永遠の価値と魅力を感じて頂ければ幸いです。
平成28年7月吉日
諏訪貿易株式会社
取締役社長 横川道男
※ 返却を希望された方のデザイン画は、7/26(火)に投函させて頂きました。また、学校名が記載されていた方々のデザイン画も各学校へ同日お送りさせて頂きました。
今年の募集アイテムは『ペアリング』でした。ペアの定義で困惑した方がいらしたようで、応募開始当初、『どのようなペア向けなら良いのか?』との問合せを複数頂きました。『こちらは結婚リングなどのカップル向けには限定せず、親子や年配のご夫婦、ご友人どうしのペアもありだと思いますので、こちらはペアの設定に関して限定はいたしません。』とお伝えしました。この点は、事前にサイト上で説明しておくべきでした。
今年も応募期間中に原石下見会を開催しました。下見会には遠方からご参加の方もいらっしゃいました。とてもありがたく思います。毎年、テーマのラフダイヤモンドの動画をサイトに載せておりますが、1つ1つ形の異なるラフダイヤモンドは形の把握が難しく、表現の難しさがあったかと思います。特にテーマ石Cの6石を使うペアリングの応募数が少なく、ペアリングに表現するのに難しさがあったと思われます。
入選なさった方々を見ると、下見会でラフダイヤモンドを手に取ってご覧になった方が多いように感じます。やはり、実物を手に取って見ると、イメージがいっそう膨らむのでしょうか。
どの応募作品も皆さんの努力が伝わる力作ばかりで、審査員5名、大いに悩み、議論を交わし、選考を行いました。今年は佳作も含めた入選12名中では、学生6名、デザイナー4名、社会人2名でした。皆さんの今後の活躍を応援したいと思います。
また、今年も昨年同様、佳作の中から意欲的なデザインを表彰する『チャレンジデザイン賞』を設けて、2作品が選出されましたことを報告いたします。
露木 宏 氏 (日本宝飾クラフト学院 理事長)
ダイヤモンド原石を使った『ペアリング』を募集するコンテストは今までなかったので、非常に面白いテーマだと思う。審査の時にいつも議論になるが、突飛なデザインを含む提案性・オリジナリティに重きを置くのか、使いやすさ・販売しやすさに重きを置くのかで、選ぶ対象が変わってくる。SUWAのコンテストはテーマに『日常身に着けて、受け継がれてゆく』デザインと掲げているので、その範囲で、面白さやオリジナリティを評価するようにした。製作指示書の評価は、デザインではないので、評価から外しても良いのではないか。代わりに、3面図を描いてもらうだけで良いのではないか。
菅原 晴子 氏 (日本ジュエリーデザイナー協会正会員)
今回、初めて審査を引き受けたが、ラフダイヤモンドがテーマということでとても新鮮だった。ただ、新しいものの提案性を評価するのか、着用性を重視して売れるものを評価するのか、難しく感じた。コンテストなので、面白いもの、意外性のあるものを評価するようにした。
大前 英史 氏 (エディトリアルデザイナー、大前デザイン室代表)
絵の上手い人を評価するべきか、絵は荒削りだが作ったら面白くなりそうなものを評価するべきかで、毎回、葛藤がある。つい、絵の上手い人に意識が向きがちになるが、時間を掛けて見ていくと、作ったら面白くなりそうなものが見えてくる。上手く仕上げてくれた職人さんも評価したい。個人的には、製作職人を悩ませるような意欲的なデザインが出てくると非常に面白い。
長嶋 泰子 氏 (デザイナー・第3回(2012)当コンテスト最優秀賞受賞)
今年も楽しく悩みながら審査させていただいた。客観的な視点と、自分で身に着けて楽しいかどうか、という両方の視点で選ばせて頂いた。今回はラフダイヤモンドでなければ成り立たない作品が選ばれたと思う。
吉岡 千加子 氏 (マーケティングプランナー、YSプランニング代表)
今回も楽しく審査させて頂いた。どのようなペアリングが応募してくるのか、楽しみだった。このコンテストは、デザインを選んで、実際にジュエリーに仕上げるというのが、このコンテストの最大の特徴なので、テーマ、設定に制限がある中で、応募者が創意工夫をして面白いものが上がってくるのを期待しています。
一次審査は、2016年5月27日(金)、諏訪貿易(株) 2Fサロンにおいて、個人情報を全て伏せて厳正に行なわれました。最初に、各審査員が全作品のデザインと意図を確認しながら、それぞれの感性で、135点より38点を選出しました。
なお、製作指示書の内容評価については、一部の審査員から製作指示に関する評価が難しいとの意見がありましたので、事前に弊社内で拝見させて頂きました。審査になるべく影響しないよう、製作に関して非現実的なもののみ、審査員に伝えさせて頂きました。
その後、その38点について、ラフダイヤモンドの魅力が活かされているか(10段階評価)、日常身に着けて長く楽しめるか(5段階評価)、オリジナリティ(5段階評価)、の3項目で採点され、上位14点が入賞作品として選考されました。
更に、実際に製作した場合の仕上がり具合、着用性などを含め、協議によって、12点から入賞3作品が選考されました。この時点で残りの11点の佳作が決定し、2016年6月1日(水)にサイト上にて一次審査結果発表後、入賞作品3点の製作に入りました。今年は、ペアリング3作品で、合計6本作るため、1作品を横山達三氏に、1作品を松川覚氏に、もう1作品を川島昇氏に製作を依頼しました。
7月初旬に、入賞3作品が完成し、2016年7月8日(金)に最終審査を行い、最優秀賞を決定しました。短い期間で作品を製作して頂いた、横山達三氏、松川覚氏、川島昇氏に感謝を申し上げます。
韓 智喜さん (大阪府) タイトル『 ミューズへの贈り物 』
ソーヤブル(正八面体)のフォルムが生かされたモダンなリング。設定が個性的で、ラフダイヤモンドの魅力を引き出した点を高評価した。当初は、着け心地が心配だったが、職人横山氏が上手く調整してくれて、凹凸がある割りには、着けてみると以外に収まりの良いリングに仕上がった。アレンジを加えたり、削ぎ落としたり、仕上げに変化を付けたりとバリエーションを増やすことも出来て、可能性を感じさせる。デザイン画では、2本ともプラチナだったが、こちらの意向で了承を得て、1本は18金で製作させて頂いた。
平世 千晶さん (東京都) タイトル『 呼応 』
ペアリングらしいコンセプトと、モチーフの中にラフダイヤモンドを留めるのではなく、リング上に大胆に配し、ラフダイヤモンドの魅力を上手く引き出した点を高評価した。リングを重ねると新たな模様に見え、タイトルの『呼応』に相応しい動きを感じさせる。
瀬戸 ひかりさん (神奈川県) タイトル『 手をつなごう 』
デザインを見ても、コンセプトを読んでも、楽しさを感じさせるペアリング。手をつないでいるサイドを眺めていると、ほのぼのとした感じになり、ダイヤモンド原石がカップルの頭に見え、正に寄り添う2人に見える。こちらの判断で、リングの外周の凹凸部分の仕上げに変化をつけさせて頂いた。
『 恩 』
瀬戸 ひかりさん 神奈川県
『 Carbon 』
高橋 紗奈さん 神奈川県
『 milky way 』
今井 功さん 大阪府
『 月が綺麗ですね 』
白川 姫理さん 東京都
『 Harmonious 』
岡田 慶子さん 東京都
『 Demon Wings 』
山田 賢人さん 大阪府
『 awake 』
酒井 寛大さん 東京都
『 Holding 』
山口 莉沙さん 千葉県
『 北の煌き 』
笠井 菜月さん 愛知県
『 京の七夕 』
肖 汪玥さん 東京都
『 花のことばの物語
(blue star and Cape jasmine) 』
大島 恵子さん 栃木県
『 心和む時 』
今井 功さん 大阪府
『 出会いの奇跡 』
山口 莉沙さん 千葉県
ラフダイヤモンドの美しさが引き出され、いつも身に着けられて、世代を超えて受け継がれてゆく『ペアリング』のデザインを募集します。
誰に、いつ、どういうシチュエーションで身に着けてもらいたいかを明記してください。
未発表のデザインに限ります。
ラフダイヤモンドは、以下の3種 (A, B, C) のいずれかを使用してください。写真に表示されたラフダイヤモンドのサイズを考慮して『ペアリング』のデザインをお考え下さい。原石は動画で全体像をご覧頂けます。ちなみに、テーマ石Cの6石の組み合わせは自由です。
・ラフダイヤモンド以外の宝石素材の使用は自由です。
・使用貴金属は、プラチナ、イエローゴールド、ピンクゴールドとします。
A. ソーヤブル注1 1.5ct 2石
トータル 3.21ct (アンゴラ産)
a. 1.77ct, 7.4 x 7.3 x 7.2 mm (対角線)
b. 1.44ct, 7.1 x 7.0 x 6.9 mm (対角線)
C. ソーヤブル 0.6-0.8ct 3石
トータル 2.06ct (ロシア産)
a. 0.85ct, 5.6 x 5.5 x 5.4 mm
b. 0.72ct, 5.7 x 5.7 x 5.6 mm
c. 0.66ct, 5.5 x 5.4 x 5.1 mm
メイカブル 0.7ct 3石
トータル 2.17ct (アンゴラ産)
d. 0.79ct, 5.2 x 4.8 x 3.6 mm
e. 0.75ct, 5.5 x 4.7 x 3.7 mm
f. 0.62ct, 4.8 x 3.9 x 3.4 mm
注1 ソーヤブル (Sawable) : 2つのピラミッドを合わせたような正八面体に代表されるダイヤモンドの原石です。この原石は比較的素直に結晶し、透明度が高いのが特徴です。宝石用原石の10~15%しかなく、効率よく研磨できる大変貴重なものです。
注2 メイカブル (Makeable) : 形は様々で、透明度の高いものから中級品質のものまであり、それぞれの形に合わせて研磨されます。原石の形が悪くても良質に仕上がるものがある一方、美しさに欠けるものが生まれることもあります。
・ラフダイヤモンドの美しさが活かされているか
(To bring out the beauty of rough diamonds)
・独創性(Originality)
・着用性(Wearability)
・次の世代に受け継がれてゆく普遍性
(Universal design that will go beyond generations)
・製作指示の内容(Direction for manufacturing)
・個人に関する情報は全て伏せて審査を行います。